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【エッセイ】日常の無防備な瞬間

そう聞いてどんなタイミングを思い浮かべますか?

トイレにいる時

お風呂に入っている時

寝起きのうつろな時

僕は発見してしまった。それは、、、



洗濯物を畳んでいる時。



なんだそれはと思われた方、想像してみてほしい。

洗濯物を畳む時って"綺麗に畳みたい欲求"がじわじわ、ふつふつ、湧いてくる。

Tシャツは肩の折り込み位置をシンメトリーにしたて三つ折りに。

バスタオルも綺麗に三つ折りにしてバッチリ収納棚の大きさに合わせたい。

畳んでいる時の姿勢は、ベンチに腰掛けるように足をそろえて、腿の上で決められた動作をこなしていく。ものすごくシステマチック。

そこでふと、客観視担当の自分が、左斜め上から俯瞰して見ている。

「なんて無防備な瞬間なんだ」

今この瞬間、空き巣などの犯罪者が家に押しかけた時、僕は瞬時に立ち上がり迎撃の姿勢を取れるだろうか。

綺麗に畳まれて整列しているこの子達を、一心不乱に振り回して、距離を取り、悪人と対峙出来るだろうか。

「なんて無防備な瞬間なんだ」

洗濯物を畳むという行為がこんなに隙だらけだとは思わなかった。

客観視担当も定位置に戻ったころ、全ての洗濯物を畳み終えた。

今日も幾度となく訪れた無防備な瞬間を無事に乗り切ったのだ。

畳み終え、持ち上げると、そこには逸れた靴下が。
相棒はどこにも見つからない。

客観視担当もその座をうかうかとしていられないな。

しかし、焦らず冷静に、至って自然に、勢いよく棚に放り込む。

無防備とはいつ何時も訪れる。時間は無駄にできない。

あなたの日常にはどんな無防備な瞬間がありますか?

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