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クラウドワークス1ヵ月体験記

何時の頃からか、新しい働き方としてクラウドソーシングが注目されるようになっています。
ワシも多少の興味があったので、2020年6月、業界大手クラウドワークスに登録してみました。
技術&時間の制約で極めて簡単な作業だけですが、その体験をお伝えしようと思います。

★クラウドワークスの業務&契約形態

依頼内容はアンケートやライティングからホームページ制作まで多岐に渡ります。契約は「タスク」・「プロジェクト」・「コンペ」の3種類です。
1.タスク
簡単な条件(年齢や性別)を満たせば誰でも参加可能なタイプ。ボタン一つで即作業可能。基本的に超低単価案件。
2.プロジェクト
細かな応募条件有り。クライアントと契約すると作業が開始できるが、必ずしも即日仕事開始というわけではない。
3・コンペ
クライアントの条件に合わせた商品を提案し、採用されたワーカーだけが報酬を受け取れる仕組み。上級者向け。

★簡単作業だけでいくら稼げたか

時間の制約があるので夕方~夜のみ参加。また、作業はタスクとコンペの一部(ネーミング)のみ。この条件での月額報酬はー

出金2020.6

日給約51円(´;ω;`)
朝から張り付けば月3000円程度にはなるかもしれませんが、これでは学生の小遣い稼ぎくらいにしかなりませんね。

たまたま仕事が少ない月だったのでしょうか?もう少しデータを採ってみないとフェアではないとも思うので、今年一杯は続けてみようと思います。

一応言っておくと、簡単作業といっても意外と面倒なものもありましたね。

★たった1ヶ月でも見えた闇

短期間のタスクとネーミングコンペだけでも、おかしなクライアントを目撃することに事欠かきませんでした。
ここではそういったケースを紹介します。
1.タスク編
⑴グレーゾーン案件
具体的には「あらすじ&ネタバレ」ライティングのことですが、内容次第では違法になる可能性があります。作品を要約するには著作者の許可が必要(著作権法第27条)なので、ネタバレまで含む分量となると危ういです。

「ああ、こういうところでゴミが製造されているんだな」と、途上国で麻薬製造工場が発見されたニュースを見た時と同じ感情を抱きました。

⑵またかよアンケート

質問の内容が言い方を変えているだけで前項の質問と同じというものです。100文字程度の記述式だと答えを捻らなければならないので萎えます。

⑶名ばかりアンケート

カテゴリーは「質問・アンケート」ですが、作業内容は明らかにライティングのケース。報酬100円で最低でも1900文字を要求するなど、非常に悪質なものもありました。
詳細は「クラウドワークスよろしくないタスク 名ばかりアンケート編」

⑷意味のない行動の要求

なぜかアンケート内容と全く関係のない選択クイズに答えることを要求してきます。外部サイトへ飛んで、さらにその中から指定の記事を探し出さないと答えられないという面倒臭さです。
手取り報酬が10円でここまで調子に乗れる人間性には驚きました。

もしかしたら、サイトにアクセスさせるのが主目的なのかもしれません。
だから実際にサイトを見てアンケートにはきちんと答えつつも「そんなサイト見てねーよ」という意志を表したくて誤答で納品したところ、見事に非承認でした。

⑸アイデアの買い叩き
たった20円でサービスや商品のアイデアを500文字以上記載で要求したケースです。まさに鉄面皮。
詳細は「クラウドワークスよろしくないタスク アイデアの買い叩き編」

2.プロジェクト編
今回は手を出しませんでしたが、ライティングの契約を確認したところ、大きな問題を抱えているように見えました。
「取材費」が見当たらないので、恐らくコピペ&リライト案件が大多数を占めるのでしょう。
また、納品した文章がどのサイトで使われるのかが応募の段階では分からない依頼が多いです。
過去の「DeNAキュレーションサイト事件」を考えると手は出しにくいですね。

最大の問題は「納品文章の著作権」です。基本的に譲渡を要求されるようですが、報酬金額が文字単価から算出したものであることを考えると、事実上の無償譲渡です。
著作権の無償譲渡は一般的な商習慣とはいえないので、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に当たる可能性が高いですね。クライアント側は事前に記載しているから問題ないと考えているようですが、それ自体が優越的地位の濫用と認識すべきでしょう。
多くのクライアントがワーカー募集に当たり著作権侵害を戒める警告を発しているのは、著作権の重要性を理解していることの証左です。
それにもかかわらず無償譲渡を要求するのはいかながなものでしょうか。

解決策は著作権料を支払うことです。クラウドワークス内で取引される文章が莫大な富を生む可能性は低いので、文字数にもよりますが200~500円が妥当だと思います。
この金額が払えないメディアは、はっきり言って社会に必要ありません。

3.ネーミングコンペ編
商品・サービス・社名などの提案作業です。さすがに「闇」は少ないので、実践して感じたことや特徴を記しておきます。

●選ぶ人に特別センスがあるわけではない。
●分かりやすいものが選ばれやすく、尖ったものは選ばれにくい。
●比較的ダサいものが選ばれる。
●造語好きのクライアントが多い。特にイタリア・フランス語。
●条件や方向性は記載してあるが、全く満たしていないものが選ばれるこ
 ともある。理由は不明。
●商標に引っかかるものが選ばれたことがある(笑)

結局は「頭脳の買い叩き」なのでイラッとすることはあります。
また、不採用でも後に素知らぬ顔で利用されてしまう可能性があり、事実上の「アイデアの無償譲渡」になるので、参加をする場合は覚悟が必要です。
ちなみに不採用のアイデアを別の業務で使用することがあると記載したバカもいました。

★まとめ

2016年の情報ですが、クラウドワークスで月収20万円以上のワーカーは登録者約80万人中111人だけでした。しかもエンジニア中心です。
クライアントの最大の目的は人件費を下げることなのだから、当然の結果です。

かつて日本は「雇用の流動性」の名のもとに派遣・請負業を拡大しました。明らかに失敗に終わりましたが、厳しく管理していればここまで酷いことにはならなかったと思われます。
クラウドソーシングも同じ道を辿っているような気がするので、「上手く使えば社会にとって有益」という可能性が残っている内に勇気ある対策を求めたいところです。ではでは。

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