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【2018 DQ Impact Report ③】The Challenge:有毒な組み合わせ<携帯電話+ソーシャルメディア>

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世界中の8歳から12歳の半数以上がどのようにしてネット上のリスクに侵されているか?**

興味深いのは、携帯電話の所有のみでは、子供のネット上のリスクへの直面や過度のスクリーンタイムに影響を及ぼすとは限らないことだ。子供がソーシャルメディアのアクティブユーザーである場合に影響を及ぼす。携帯電話を所有しているがソーシャルメディアユーザーではない子どものスクリーンタイムとネット上のリスクの可能性は、携帯電話を所有していない子供のそれと大きく変わらない。

調査では、子供たちが早い時期から携帯電話やその他のインターネット接続デバイスを通じてデジタルメディアを過度に使用していることが判明した。成長段階ということもあり、自主規制能力の不足、周りの同調圧力の強まり、デジタルシチズンシップスキルの欠如なども影響し、さまざまなネット上のリスクに晒されている。これは特に、子供が携帯電話を所有し、ソーシャルメディアに積極的に関わっている場合に当てはまる。このような場合、ネットいじめやゲーム依存症、ネット上の勧誘、性的なコンテンツへの関与など、少なくとも1つ以上のネット上のリスクにさらされる可能性は70%である。

・子供たちがネット上に費やす時間の急増-世界平均で週32時間のスクリー
 ンタイム(娯楽での使用のみ)
・8〜12歳の子供の50%が自分の携帯電話でインターネットにアクセス
・8~12歳の年齢層の85%がソーシャルメディアを使用
・携帯電話を所有している子供は、持たない子供に比べて、さまざまなソー
 シャルメディアプラットフォームに積極的に関与する可能性が2倍高くな
 る
・ソーシャルメディアに積極的に参加している若い携帯電話所有者は、週12
 時間以上のスクリーンタイムがありサイバーリスクの可能性が20%高まる

1.世界平均で週32時間のスクリーンタイム(娯楽での使用のみ)

調査では、世界中の8–12歳の子供がデジタル画面の前で娯楽に平均週32時間費やしていることが示されている。これは子供が学校で過ごす時間よりも長くなる。最近、子供たちが学業にインターネットを使用する必要性も出てきている。調査では、娯楽のみ(テレビ番組やビデオの視聴、ゲームのプレイ、ソーシャルメディアのサイトやアプリの使用)のスクリーンタイムに焦点を当てた。したがって、宿題のためのスクリーンタイムを考慮すると、総スクリーンタイムはさらに長くなる。

アメリカ小児科学会がデジタル世界の広がりに合わせて子供のスクリーンタイムガイドラインを変更したが、元のガイドラインがこの年齢層だと1日2時間未満であったことは忘れてはならない。世界中の子供たちは現在、ネット上でかなりの時間を費やしている。

「安全な」スクリーンタイムについての共通認識はまだないが、過剰なスクリーンタイムとさまざまなネット上のリスクや肥満、睡眠障害、注意障害などといった発達問題との間に正の相関があることが示唆されている。調査では、8歳から12歳の間の4つの主なネット上のリスクのカテゴリーすべてとスクリーンタイムとの間に統計的な関連性も確認された。

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2.8〜12歳の子供の50%が自分の携帯電話でインターネットにアクセス

世界的には、8–12歳の子供がインターネットにアクセスするために最も使用するデバイスは個人用の携帯電話であり、続いて家族用のPCである。調査参加者の50%が個人用の携帯電話を所有し、それを通じてインターネットにアクセスする。彼らの60%は10歳になるまでに携帯電話を買ってもらう。

子供たちが個人用の携帯電話を所有している場合、いつでもどこでもデジタル世界へアクセスすることができる。高校生や大学生でさえ、携帯電話のチェックを続けるのが日常であり、アクセスが1日ないだけで不安になる可能性がある。 8–12歳の子供たちが規律を持って携帯電話を使用するのは難しいと言える。

さらに、ICT先進国の子供たちは、ICT新興国の子供たちと比較して、より保護されたデジタル環境(教師や保護者によって支持されるデジタル環境)でインターネットを使用する傾向がある。 ICT先進国の子供は、家族のデバイスや学校のコンピュータをインターネットに接続する傾向があるが、ICT新興国の子供は、個人用の携帯電話やインターネットカフェでそうする傾向がある。その結果、ICT新興国の子供たちは、デジタル世界にいる間に、信頼できる大人からの助けを得る可能性が少なくなるかもしれない。

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3.8~12歳の年齢層の85%がソーシャルメディアを使用

ほとんどのソーシャルメディアアプリケーションを正式に利用できる法的年齢は13歳だが、世界中の8–12歳の子供の約85%がソーシャルメディアサイトやアプリを積極的に利用している。子供たちのオンラインでの活動は、動画の視聴(72%)と音楽(51%)、検索(51%)、ゲーム(49%)、チャット(38%)となっている。したがって、この年齢層で最も人気なのがYouTubeだ。子供の半数以上がYouTubeを利用している。次に続くのが、 WhatsApp(45%)、Facebook(28%)、Instagram(27%)、Sn​​apchat(23%)の順だった。

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ICT新興国の子供は、ICT先進国よりもヘビーユーザーである(90%対81%)。特に、ICTの先進国と比較して、ICT新興国の子供たちの間でFacebookとTwitterが著しく普及している。

調査では、子供たちの最初のオンライン体験として多いのは、これらのソーシャルメディアプラットフォームへの参加であることを示唆している。動画ベースの情報により慣れているので、Googleなどのテキストベースの検索エンジンよりも優先的にYouTubeを使用する傾向が高まっている。

私たちは、これらのソーシャルメディアプラットフォームのアルゴリズムが、このプラットフォーム上でより多くの時間を費やすような設計になっていることを理解し始めている。広告主は、子供たちの短いアテンションスパンと、似たような動画を繰り返し視聴させることで利益を得ている。ユーザーのトラフィックを増やすことによって成長するプラットフォームによって、子供が誤ってデジタル端末により多くの時間を費やす可能性がある。さらに、適切なコンテンツ評価や効果的なフィルタリングメカニズムがなければ、子供たちはソーシャルメディアサイトを通じて暴力的で不適切なコンテンツに簡単に晒される。

4.ソーシャルメディアに積極的に参加している若い携帯電話所有者が週12時間以上のスクリーンタイムと70%のサイバーリスクの可能性

子供たちが個人用の携帯電話を持ち、インターネットに簡単にアクセスできるようになると、デジタルメディアをより積極的に利用し始めるのは当然である。若者の携帯電話所有者の91%は、さまざまなソーシャルメディアのサイトとアプリを使用しているが、携帯電話を所有していない子供は70%にとどまっている。さらに、子供の携帯電話所有者の54%が積極的なソーシャルメディア使用者になり、持たない子供は28%となった。

子供の携帯電話所有者がソーシャルメディアに積極的に参加すると、携帯電話を所有していない子供の平均スクリーンタイムに比べて週に平均39時間、すなわちスクリーンタイムが12時間多くなっている。さらに、携帯電話を所有し、ソーシャルメディアに積極的に関わっている子どもの70%は、携帯電話を所有していない人に比べてネット上のリスクが20%高くなる。

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「ネパール都市部の子供たちの多くにとって食事や宿題より大切なのは、携帯電話でゲームをしたりYouTubeでビデオを見たりすることです。子供はデジタル端末中毒になっています。彼らは日常生活の一部として深く浸透しています。ソーシャルメディア関連の犯罪が増えており、ソーシャルメディアでのポルノコンテンツの使用や偽のプロファイルの作成がさかんになっています。地方紙によると、昨年のサイバー犯罪は830件に上りました。それらのほとんどは、Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルネットワーキングサイトを通じて行われました。」
– Mr Kedar Kilanbu, Adviser to APEX ICT Institute and DQ Ambassador to Nepal

8歳から12歳までの成長段階というのは、自己規制能力はまだ限られているが、自分が仲間に溶け込んでいるかを認識することが重要となる。この時期に両親からの独立性が高まり、新しい人との関わりや情報源を探し始める。したがって、メディアや周りの同調圧力に非常に敏感になり、さまざまなネット上のリスク、特にネットいじめやゲーム中毒につながる可能性がある。

早い段階での携帯電話所有とソーシャルメディアの積極的な使用というハイリスクな組み合わせは、子供たちがクリティカルシンキングを持ってデジタル世界を安全に動き回るためのデジタルスキルの必要性を訴えている。

「生徒たちがFacebookで数百人の友達がいると自慢しているのをよく聞きます。 携帯電話の持参は禁止されていますが、1年生の子供たちですら携帯電話を持ってきています。子供たちがあらゆるコンテンツにアクセスすることができるこの状況は、彼らの適切な知識が欠如している中で、非常に危ない状況と言わざるを得ません。」
– Profra. Leticia Maldonando Ortiz, Director of Congreso de Anahuac Primary School, Guerrero, Mexico

2018 DQ Impact Report: https://www.dqinstitute.org/2018dq_impact_report/

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