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子供の56%がネット上の危険に直面!有効なワクチンとは? ‐ 世界初29か国でのグローバルレポート公開

※弊社が運営するmedium2018年の記事の再投稿です

DQ Institute(シンガポール)は19日、World Economic Forum(通称ダボス会議)と共同で、2017 DQ Impact Study(以下、調査)の結果レポート「 2018 DQ Impact Report」を公表した。この調査は、世界29ヵ国で8歳~12歳の38000人以上の子供たちを対象に、ネット上での振る舞いや危険度、デジタルシティズンシップのレベルなどを調査しており、多国間での大規模なものでは世界初だという。8歳~12歳が対象となっている理由は、子供たちがデジタルメディアやデバイスを活発に使い始める時期であると同時に、子供たちの長期的なデジタル習慣を形成する時期であるため。

「 2018 DQ Impact Report」(以下、レポート)は、調査からわかったことや2017年の#DQEveryChild(#すべての子供たちにDQを)活動をまとめており、以下の3つのセクションから構成さている。

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1. The Challengeでは、世界中の8–12歳の子供たちのデジタル行動を理解す
 ることによって、世界のサイバーパンデミック(感染爆発)の現状及びそ
 れがどのように拡大しているかを示している。

2. The Strategyでは、#DQEveryChild(#すべての子供たちにDQを)が、戦
 略的かつ迅速かつスケーラブルなソリューションを使用して、国を支援す
 る方法を共有している。また、複数のステークホルダー間のコラボレーシ
 ョンを通じ、どのように「倫理的デジタル・エコシステム」を構築すべき
 かを示している。

3. The Impactでは、#DQEveryChildの有効性と成長性を強調し、様々な国の
 情熱的な指導者や組織が#DQEveryChildを効果的に活用し、スケーラブル
 で測定可能なインパクトを子供たちに与えている4つの例を共有してい
 る。

The Challenge:8~12歳の56%がネット上の危険に直面

今日の子供たちはサイバーパンデミック時代を生きている。調査によると、29カ国の8–12歳の子供たちの56%が、ネットいじめ、ゲーム依存症、ネット上で出会った人と面会、ネット上の性情報の少なくとも1つに関わっていることが明らかになった。

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ネット上の危険に直面している子供たちの割合

・47%は過去一年でネットいじめの被害を受けた。
・10%はネット上で出会った人とチャットをして、
 現実世界で実際に会った。
・11%はゲーム依存症の基準を満たしている。
・13%は性的なコンテンツを検索したり、サイトにアクセスしたりした。
・7%は性的なコンテンツを自発的にダウンロード・送信・受信した。
・3%はネット上で性的なメッセージを知らない人とした。

​レポートでは、様々な定量的なデータから、子供たちはスマートフォンを通じてソーシャルメディアを使い過ぎていることを示している。「スマートフォン+ソーシャルメディア」という有毒な組み合わせが、サイバーリスクに直面する可能性を増加させている。調査では、スクリーンタイムとサイバーリスクの相関性も明らかにしている。

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スクリーンタイムとサイバーリスクの関係性

スクリーンタイムの増加は、子供たちの睡眠時間や質の低下、社会性の低下、自尊心の低下など、多大な悪影響を及ぼしている。それが結果的に、成績の低下、健康や幸福度の低下など、子供たちの人生に長期的に影響を及ぼすと述べている。

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スクリーンタイムの増加による悪影響

The Strategy:#すべての子供たちにDQ(Digital Intelligence)を

サイバーリスクへの耐性を持ってデジタル世界でチャンスを最大化するために、今日の子供たちは適切なスキルを身に着ける必要がある。レポートでは、子供たちはDQ(Digital Intelligence)を高める必要があると述べている。

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DQの3レベル

DQの第一歩はデジタルシチズンシップである。デジタルシチズンシップとは、デジタルメディアとテクノロジーを倫理的かつ安全に、責任をもって使用する能力だ。子供たちはデジタルシチズンシップスキルを身に着けることで、サイバーリスクを避けながら、デジタル世界のメリットを享受できる。デジタルシチズンシップ教育を小学校のカリキュラムに入れ、具体的に子供たちに以下のことを教えるべきである。

1.デジタルメディアとテクノロジー利用に関しての自己管理方法
2.ネット上のコミュニケーションの基本原理の理解方法
3.ネット上の情報やコンテンツに関しての批判的思考の持ち方
4.サイバーリスクから能動的に身を守る方法
5.共感力をもって、他人と健全な関係を構築する方法
6.責任感あるデジタル市民としての強い自覚の育て方

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デジタルシティズンシップ教育

レポートでは、親を保護し、有能な教師から支持的なコミュニティに至るまで、子供のための安全なデジタル環境を構築することこそが不可欠だと述べている。国レベルでは、「倫理的デジタルエコシステム」を開発するためにステークホルダーを巻き込み、すべての子どもの安全性を高めることで、子供たちがデジタル世界で豊かに生きるための権利を保証する必要がある。

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社会的責任として倫理的デジタルエコシステムを構築する

#DQEveryChild (#すべての子供たちにDQを)は、8–12歳の子供たちが健全なデジタル市民になるための戦略的なグローバルムーブメントである。スマートフォンを使い始める頃からデジタルシチズンシップスキルを身に付けることで、サイバーリスクに対するワクチンのように機能する。レポートでは、国レベルでデジタルシチズンシップ教育プログラムを実施する際のボトルネックを明らかにしている。

1.デジタルシチズンシップのための包括的な研究をベースにしたカリキュ
  ラムの欠如
2.教師の限定された専門知識
3.効果的な評価とフィードバックメカニズム実装の難しさ

#DQEveryChild (#すべての子供たちにDQを)ムーブメントはこれらの問題を踏まえ、オンライン学習プラットフォームであるDQ Worldを提供している。包括的な研究ベースにし、子供たちの教育・評価・保護の機能を持つこのプログラムは、ゲーミフィケーションを用いて、各国がハイクオリティなデジタル教育を公教育で実施するのをサポートしている。このソリューションは、急速に拡大するサイバーパンデミックに対して、各国の対応を手助けすることを目指している。

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#すべての子供たちにDQを 総合的な戦略

The Impact:サイバーリスクの減少とムーブメントの拡大

2017年の調査によると、DQ Worldを完了した子供たちは、DQスコアが10%増加した。これは、サイバーリスクが15%減少したことに相当する。

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#DQEveryChild (#すべての子供たちにDQを)ムーブメントは2017年に爆発的に拡大した。 DQ Instituteは、2017年3月に世界経済フォーラムと連携以降、9ヶ月以内に100を超えるパートナー組織を集め、30カ国以上で活ムーブメントを起こした。その結果、このムーブメントは世界中のおよそ600,000人の子供たちに届いている。

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#すべての子供たちにDQを グローバルムーブメント

その他レポートでは、 #DQEveryChild 活動の具体例として、多くのステークホルダーによる協力(シンガポール)、政府主導の動き(メキシコ)、熱き市民リーダー(ネパール・ナイジェリア)、ICT企業による展開(トルコ・タイ・フィリピン)を紹介している。

DQ Instituteは2020年までに100カ国以上の子どもたちにリーチすることを目標としている。

About
「 2018 DQ Impact Report」は、世界中の8歳~12歳の子供たちの、ネット上の安全やデジタルシティズンシップの状況や、デジタルシティズンシップを向上させる#DQEveryChild活動のインパクトをまとめたものである。本レポートはDQチーム及び世界中のパートナーによって作成された。
今後、調査に協力いただいた学校には「2018 DQ School Report」が発行される。また、国家機関向けに「2018 DQ National Report」を発行予定。

【本件に関するお問い合わせ先】
石山 将(DQ Ambassador, DQ Institute Japan)
Email: masamiishiyama2017@gmail.com

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