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教室と大人世代をつなぐ Vol.01   『やってみなはれと言える自分に』

2050年の主役は誰か?


「2050年までにカーボンニュートラルを達成する」。これは2020年、当時の菅首相が世界に約束した言葉です。一国の元首としてすばらしい発言だったと思います。個人的にはもう数年早く、できれば2045年としてもよかったのではとも思いましたが、発言自体は称賛に値するものでした。ただ、いますぐ行動を起こさなければ、この目標は達成できません。
これを聞いて、50代、60代の方には、「2050年?もう自分は生きてるかどうかもわからない」と思われた方も少なくないと思います。そんな方々に、明日から生活を変えてくれと言っても、よほどの強制力かインセンティブがなければ変わらないでしょう。ところが、この「もう自分は、、」と思われた世代がいま、企業や社会での意思決定権を持っているのです。
一方で、2050年ごろに企業や社会の主役になるのは、いまの高校生たちです(実際にはもっと広い年代になりますが、ここではわかりやすく「高校生」を代表者としました)。彼ら、彼女らの考え方はまったく違います。自分たちが主役になるとき、この地球そのものがおかしくなってしまう、そんな危機感を全身で感じ、自分にできることがあれば、いますぐ行動したいと思っています。すでに行動している子たちも大勢います。たとえば、グレタ・トゥーンベリさん。彼女は中学生のころから母国のスウェーデン議会や気候変動枠組のCOPなどで地球温暖化防止の活動を行っていますが、私も含め、50代、60代の方からみると彼女の行動はエキセントリックで、ときに奇異に感じることさえあります。ところが当人たちにとってみれば、切実で身近な問題なのです。地球温暖化問題だけではありません。「SDGs」を物心ついたときから知っているいまの高校生世代は、社会のあらゆる課題に敏感です。この物事の捉え方のギャップは埋まることはありません。

意思決定の場に高校生を


日本の50代、60代は「失われた30年」をつくり出した張本人。この間に日本は世界の国々から大きく取り残されました。にもかかわらず、いまだに日本製のものが世界一だ、日本はアジアの先進国だと思い続けています。この30年、欧米諸国の給与水準は1.5~2倍になり、物価も上がっています。日本はひとり取り残され、伸びない人件費を前提にした観光立国として「安く観光できる国」に成り下がってしまいました。オリンピック・パラリンピックで流れが変わることを期待していたのですが、この観光立国という夢さえも、コロナ禍であえなく終わってしまったのです。
2050年、いえ2030年を語る時でさえ、いまの意思決定世代である50代、60代が口をはさむべきではない。いまこそ、高校生を企業や社会の意思決定の場に呼びましょう。
そのためにいまの50代、60代がすべきことは、高校生の意見を聞く場を設け、若手に、『やってみなはれ』と言えるようになることです。



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