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※諸説あります。            Vol.01 『日本の国民魚』

やっぱり「鯖」は

ある時、出張で同僚と奈良に行くことになり、午前の仕事を終え、『柿の葉ずし』の元祖といわれる店で食事をしました。柿の葉寿司は店によって、「柿の葉すし」、「柿の葉ずし」と表記が違います。鯖をはじめ鮭、鯛などの柿の葉ずし、それに焼き鮎の姿ずし(写真)が並びました。鮭、鮎と食べ始め、どちらも旨いのですが、鯖を口に入れると思わず、「旨い!」とうなりました。私が「やっぱり鯖は旨いな!」というと、同僚も即座に「鯖は旨いよ」と返してきました。

焼き鮎の姿ずし

それから2週間後、私は友人に誘われ30年ぶりに釣りにいくことになり、横須賀から相模湾へ。出航から1時間ほどは誰も釣れない時間が続きましたが、ようやくアタリが!上げてみると鯖が2尾、ついていました。振り返ると全員が鯖を釣り上げていて、まさに入れ食い状態。鯖は群れにさえ出会えれば、私のような初心者でも簡単に釣ることができる魚なのです。(※)

鯖はほぼ日本全国の海にいます。比較的、簡単に獲ることができて、しかも美味しい!ただ1つ、問題なのは腐りやすいこと。でもそれが干物や塩漬け、ぬか漬けなどいろんな保存法を生み出すきっかけになり、海から遠く離れたところでも食べられるようになったのです。新潟県の村上市や北海道など、鮭が食文化の基礎となっているところもありますが、全国的には鯖が「国民魚」だと私は思います。それはおそらく動物の角や骨で釣り針をつくり漁撈を始めた縄文時代から続くものなのではないかと思います。数千年も前から日本人のDNAに刷り込まれてきた魚、味なのです。(※)

元祖は山奥で創業

私が柿の葉ずしを食べた奈良のお店は「元祖」と呼ばれ、猿沢池にほど近いところにあります。創業は文久元年(1861年)、そのころは和歌山で獲れた鯖が塩漬けにされ、紀の川をさかのぼって大和まで運ばれていました。紀の川は上流にいくとやがて吉野川と名前を変えます。実はこのお店の本店は吉野川沿いの山奥にあります。古来から川沿いには道があり集落もありました。和歌山から舟で、陸路で、はるばる運ばれた鯖は、この地で抗菌作用があって香りもよい柿の葉に包まれて押し寿司になったのです。きっと吉野の桜の花見でも食べられたでしょう。(※)

余談ですが、お寿司を包む柿の葉は年間に何枚くらい使われるのでしょうか?柿は奈良県の名産品ではありますが、葉っぱを確保するのも大変ですよね。

鯖の街、小浜

鯖といえば私は福井県の小浜が思い浮かびます。目の前の若狭湾は鯖の漁場でした。ひと頃は漁に出ると波に乗って鯖のほうから船に飛び込んでくるほど、たくさんの鯖がいたそうです。ひと網投げればいつも大漁!鯖で街は潤っていました。いまは天然ものは数が減ってしまい養殖がメインになっていますが、ここで塩漬けにされた鯖は京都に運ばれ、いつしかその道は「鯖街道」と呼ばれるようになりました。もしかしたら大和まで運ばれていたかもしれません。(※)

実は、小浜も奈良に負けず劣らず歴史の古い街。ここの鯖も歴史があるようです。

諸説あります。)

続きは次回。

これまでに書いてきたブログです。まだ続けています。ぜひ見てください。
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