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データの傀儡になるのではなく|CX Clip 週間ハイライト(2021/9/20)

編集部より

おはようございます。CX Clip編集部の柏原です。

先週は「体験起点でのデータ活用」の在り方を企業に伺うコーナー「Data for Experience(愛称はD4X)」の第3回として、「一休.com」のデータサイエンティスト遠藤俊太さんへのインタビューを公開しました。D4Xは最近の編集部内激推しコーナーです。今後の連載も乞うご期待!

「社長とメンバーの“ロジックバトル”」という言葉にも象徴されますが、遠藤さんだけでなくデータサイエンス部や会社全体で仕事とお客様の体験向上のために頭と手をつかうことに対してとても前向きで、楽しそうな雰囲気を感じます。

楽しむためにはその人が主体性をもつことが前提になる、とわたしは考えます。

話は変わりますが麻雀マンガ『咲 -Saki-』に天江衣という登場人物がいます。天江は「牌に愛された子」で、超常的な才覚と運を持っている。人外じみた圧倒的な能力で咲たちの前に立ちはだかりますが、天江は天江でその能力ゆえに孤独と諦念を感じています。好きで麻雀を打っているわけではなく、「麻雀を打たない自分に価値はない」と考えているから仕方なく打っている。このような天江の問題に、彼女の良き理解者である藤田プロは「お前のは打ってるんじゃない。打たされているんだ。」と苦言を呈します。つまり、彼女の麻雀には主体性がない。

そんな彼女はインターハイ県予選の大将戦大詰めでピンチに陥り、これまで感覚で打ってきた打牌にはじめて迷いが生じます。「このままでは負けるかもしれない」という迷いです。そこで彼女は自身の、自分でもコントロールできず、それに従うばかりであった超常的能力の相対化を図り、ここではじめて自身の主体性を獲得することになります。

感覚の傀儡になるのではなく── 感覚を選択肢の一つとする

間違うことのなかった感覚をカッコにいれ、自分の判断で打牌を決める。その結末はぜひマンガを読んでほしいのですが、最終的に天江は人生ではじめて麻雀を「楽しかった」と感じることになります。

天江の「感覚」は、わたしたちでいうところの「データ」に近いところがあると思えてなりません。たしかにデータは正しい方向への導きを手助けしてくれますが、主体性なしに、つまりデータを活用するその人が自分で判断し、自分で決めることなしにデータの結果を盲信しては、アルゴリズムの改善が望めないことから新しい示唆が出てこないですし、何より楽しくないはず。楽しむと人も集まってきます(実際、天江も県予選以降ではじめて友だちができる)。

主体性をもった複数の人間が楽しみ夢中になるなかに、まだ見ぬ可能性の萌芽がある。だから、

データの傀儡になるのではなく── データを選択肢の一つとする

ことが大事。今回のD4Xはそんなことを改めて思わせてくれる記事でした。

今週のCX Clipもお楽しみください。

先週の更新記事

KARTE Liveでは、顧客のサイト上の動きを動画で確認することにより、顧客の感情や文脈、背景などの“行間”を読み解くことができます。とはいえ、単に動画を見るだけでは顧客理解に活かすことはできません。そこで、プレイドでは「KARTE Live」を長らくご活用いただいているSBI証券様、JIMOS様と一緒に、「定性分析のこれから、実践と事例」と題したセミナーをオンラインにて開催しました。

KARTE Liveは、主に「施策改善」「プロダクト開発」「顧客理解/分析」「カスタマーサポート」の4つの活用場面があり、今回はそのなかでも特にKARTE Liveが多く使われているふたつの場面「顧客理解/分析」と「施策改善」を取り上げます。

データ活用を主眼とした活動に取り組まれている企業や研究者に話をうかがいながら、体験の向上に寄与するデータ活用のあり方を考えていく連載企画「Data for Experience(D4X)」。今回は、一休の社内に根付く「データを顧客理解に活かす」文化と部門横断の取り組みを、遠藤さんにうかがいました。マーケターが仮説を立てて施策を回すだけでなく、データサイエンティストもまた同様に実践する。互いの視点を活かしながら、切磋琢磨して顧客理解を深めようとする姿勢が、遠藤さんの話から浮かび上がってきました。

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