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Profile

木村 槿(きむら・あさがお)
歌人/コピーライター。熊本県出身。愛知県在住。新聞歌壇をはじめ、うたらば、短歌くださいなどに投稿中。掲載実績、受賞実績複数。


◾️受賞・入選歴

令和二年熊日短歌大会 入選
第十二回 角川全国短歌大賞 自由題 永田和宏選 秀逸
第六十四回 短歌研究新人賞 佳作
東京歌壇 東直子選 2021年8月の月間賞
第42回 全日本短歌大会 森本平 選者賞
第67回 角川短歌賞 予選通過
第五十回 全国短歌大会 楠誓英選 佳作
第四回 笹井宏之賞 最終選考候補作
第六十五回 短歌研究新人賞 佳作

◾️寄稿

フリーペーパー うたらば vol.29
連作「東京にて」
https://utalover.theshop.jp/items/43354901

フリーペーパー うたらば vol.30
連作「夏でした」
https://utalover.theshop.jp/items/53529875


◾️自選20首

この町で深夜を飼おう ねえ深夜、わたしのとこにずっといないで

玄関にスニーカーを脱ぎ散らかしてひとりが好きなわたしが混んでる

道端に診察券が落ちていて知らないひとよ元気でいますか

パンジーを花壇へ植えかえるひとは子犬のあごをなでるやさしさで

乱反射したよろこびが町じゅうをめぐって春がやってきました

足裏に点字ブロックはみちみちて誰もが生きるために生きてる

生きることは絶えず麦茶を沸かすことふたりでいてもひとりでいても

わたがしで殴られるようあなたからあなたの声で言われるたびに

カステラの紙をじょうずに剥がすひと このひとに今日わたしはふられる

絶対にいいねを押さないことでしか伝えられないタイプの愛だ

用もなくコンビニをさまよっている容疑者めいたぼくの足取り

傘のない二人がはしゃぎながらゆく互いが互いの傘だと思う

旅でした雨の降る日も風邪の日もシングルベッドの舟で目覚めて

長い長い銀杏並木を自転車でゆけば宇宙の裏道である

玄関のピアノは歌わなくなって大きくなった家が鳴くだけ

大感謝セールに感謝していますみんなでしあわせになりたいね

風鈴の音で涙が出てしまうぼくはさみしいパブロフの犬

小説に指を挟んだままねむるとき指だけが夢を見ている

前をゆくリュックサックが開いている花束入れてわらわせたいよ

東京でひとりになれる場所なんて火曜の渋谷TSUTAYAくらいだ

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