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愛と団地の社会学

11月19日は群馬県前橋市の広瀬団地へ行ってきた。

ぼくらが参加しているバーチャル自治体令和市に文化祭の出店依頼が来たため、絶賛消滅中にも関わらず、令和市は解散したバンドのように一日限りの復活を果たした。

イベント詳細は令和市民ゆかりさんの記事から

会場は群馬県内の団地でも最大規模の広瀬団地。
まっすぐに伸びる道路に団地がばーっと並ぶ。絵に描いたような団地群、白い建物とよく晴れた青い空がなんとも言えない感じ。なんか団地ってだけでエモささえある。

朝9時くらいから準備が始まり、関係者らしき若者が少しずつ集まってくる。

神社と古墳

すぐ隣には神社があった。今日一日お世話になるのでしっかりとお参りさせていただいた。ここら一帯は古墳群の中にあるそうな。

団地とコミュニティ

団地の敷地内には郵便局や肉屋、豆腐屋も見つけた。ここでローカルな経済が回っているのかな?と想像できたりして、、案外団地の中でもコミュニティが形成されているのかもしれない。

近くにスーパーなんかももちろんあると思うけど、リアルの場で生活に根差したコミュニティを形成する時に重要なことは小さな経済圏だとぼくは考えている。

安い、便利、お得では逆立ちしても大手には勝てっこ無いので、ある種の義理経済的なものが重要なのではないだろうか。

僕が買い物する時スーパーじゃなくて、その隣にある八百屋に行く理由は、3個150円のニンニクを一個50円でバラ売りしてくれるから。

大手でも、大手じゃなくても、スーパーにはコレが無い。しかし、もしかしたら、団地の肉屋は鶏ひき肉を50グラムだけ売ってくれたり、豆腐屋は持ってきた鍋に出来立て豆腐を入れてくれるかもしれない。

そんなサンダルで行ける義理経済圏が、この団地には見えた気がした。

若者と団地

このイベントの趣旨は、団地の空き家をリノベしたり催しをして、多くの方に団地を見て知っていただき、もっと団地を好きに、そして楽しんでもらおうというもの。
きっかけ作りとしてはすごくいいなと思う。

令和市ブース

驚くことにまともに部屋のリノベの様子がわかる写真が一枚も無く、ギリギリわかるのがこの装飾された我らが令和市ブースだけだった。全然伝わらないけど、内装はとってもいい感じで、近くにあったら住みたいくらい。

実際に大学生の繋がりを中心に若い人が沢山来ていた印象で、家族連れやご年配の方まで幅広い層の人が集まっていた。

背景としての団地

野外の出店も全てが団地と共にある。
背景に団地が映り込むのがなんだか良くて、気付いたら沢山写真を撮っていた。

こたつと団地
みんなでお絵描きできる壁
フラダンス講座を受講
団地のベランダから
団地の壁はスクリーンにもなる

なんか穏やかでいい風が吹いていたんだよなぁ。
共同体のようで、個の集合である団地の部屋一つひとつが、それぞれに暮らしがあって、ふらっとイベントに遊びに来る人もいれば、一切関わらない人もいただろうけど、多分大切なのは続けることで。

でっかいイベントをやるのは大変だけど、誰かが勇気を出して一歩踏み込んで来た時には、ようこそ!って笑顔で受け入れる。コミュニティを研究していて感じる重要なポイントはここだと思ってる。

令和市ブース

テーマタイトルの「妄想アパートメント」に合わせて令和市も妄想全開。
令和市ブースを、令和五十年という今から46年先の未来の団地の一室ということにして、年表の作成、それをもとにした未来のインプロ(即興劇)のワークショップをやることにした。

加えて今話題のAIお絵描き体験ブースの設置。
LINEで簡単に遊べるお絵描きばりぐっどくんにご協力いただき、生成した絵をその場で印刷できるブースに。おばあちゃんからお子様まで楽しんでくれました。

ホヤおじさんとの出会い

個人的に1番衝撃的な出会いだったのはホヤおじさんこと鷲北さん。

ホヤおじさんこと鷲北さん

初めてホヤを食べたけど、なんだろうか、貝のような魚のような、なんとも言えないお味で、、料理を作る身として、一度真剣に向き合ってみたい食材。とりあえずタイカレーに入れたい。

ホヤおじさんは実は仮の姿で、
鷲北さんは大学講師で社会学を教えている。ホヤ啓蒙活動後、外で1人チルしているところに遭遇し、団地とコミュニティについてゆっくりお話しをすることができた。

僕は大学には行ってないけど、ここ最近大学に縁があったり、面白いと思う人はほとんど大学の講師をしていたりと、大学の面白さを今になって思い知っている。

運良く鷲北さんの講演会も聞けることに。
場所が場所なら一発でクレームが入りそうな際どい(ほぼアウトな)スライドを団地の壁に投影していた。堂々と話す鷲北さんと、真剣に聞くギャラリーを見て、一気にこの場所が好きになった。

団地の可能性が見えた一日

今回のイベントを通して団地の見え方が少し変わったのは事実で。

コミュニティというフィルターを通して何でも物事を見てしまうくらいには、コミュニティ研究が今の自分の中心にあるのだなと改めて気づいた一日だった。

主催のワタナベ氏

団地をこれからのコミュニティとして考えていく。
それ以前に、今回企画してくれたODDSCHOOLは既にコミュニティとして成立していた。
イベントの企画や準備で一つになり、みんなでゴールを目指す。終わったら美味しいご飯とお酒が待っていて、一つ終わればまた次のイベントへ、、
文化祭は準備が楽しいって、みんなよく知っていることなんだよな。

令和市民として、コミュニティ研究者として、地方出身者として、気付きと実りに溢れた一日でした。

みんなありがとう

(タイトルの「愛と団地の社会学」は、当日の鷲北さんの講演タイトルから引用させていただきました)

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