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27歳経理事務がホワイト企業を辞めてITベンチャーを起業してみた話(2)

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音楽の道でアートに挑戦するも、思いっきり挫折。逃げるように大学院へ進学。

高校生からギターを始めてどハマり。大学生からは活動を本格化し、友達とバンドを組んだり、DTMをインターネットで公開したり、路上ライブでオリジナル曲を弾き語りで演奏したり、割と本気で「自分なりのアートをやってやろう」と躍起になっていました。

しかし、大学4年生の頭になって周りの友人が苦労して何とか就職を決めていく中、何一つ成し遂げていない自分に焦りを覚え、これで将来食っていくのは難しいと判断し挫折することに。

当時、ゆとり第一世代の僕は、リーマンショックの影響で就職氷河期真っ只中。「50社エントリーしても1社も通らない」なんて話はざらで、「就活が上手くいかず、社会に必要とされてないと感じて自殺」みたいなセンセーショナルなニュースが世の中を騒がせていた時期でした。

つまり、特にやりたいことも無いまま就職氷河期の就活市場に飛び込むことになったのです。音楽ばかりやっていたから、学校の成績は最悪。就活には出遅れ。おまけに壮絶な買い手市場。本当に焦りました。焦りすぎてその年の夏にかき氷を売り始めたくらいです。幸い内定はもらっていたのですが、人生の指針が定まらないまま就職してしまうのはヤバイ!と、逃げるように大学院に進学しました。

起業を通してならアートができるかもしれない

大学院に進学後は、将来のビジョンを見つけるために面白そうと思ったことは片っ端からやってみることにし、特に本を読み漁っていました。

理系の大学院だと研究室やゼミがあって、研究仲間と日々を過ごし...というイメージがありますが、僕が入ったのは経済系。税理士や会計士を目指すコースでも無いので現役で入る学生は珍しく、アジア系の留学生が8割、社会人学生が2割くらいの比率。社会人学生はほとんど研究室に来ないので、研究室の公用語はまさかの中国語。全然馴染めなかったので、ほとんど一人で過ごしていました。自分を見つめ直すには丁度良い環境でした。

そんなある時、僕はイノベーションについて興味を持ちました。過去のイノベーションを紐解いていくと、こんなことが分かりました。テクノロジーとイデオロギーがイノベーションを牽引していること。新しいニーズを生み出し、世の中の人が新しいものを求めた結果、大きな変化に繋がっていること。その結果、政治が後から変わっていくこと。

その時、僕は「もしかすると起業を通してならアートができるかもしれない」と思いました。起業とアートは一般的には結びつかないのかもしれませんが、「僕たちはこうしたい」という理念があって、そこに向かって惜しみなく工夫して、世の中を少しずつ変えていく姿はアーティストそのものだと思います。様々な起業家がいますが、Appleのスティーブ・ジョブズや、Twitterのジャック・ドーシーの姿を見れば自明ではないでしょうか。

よーし、そういうことなら起業しよう。でも、何で起業すればいいんだろう?社会の仕組みも知らないし、会社がどのように回っているかもよく分からない。やりたいことを見つけるためにも、とにかく経験を積んでみよう。だいぶ遠回りにはなりましたが、自分にとって社会と関わるそれらしい理由が出来た瞬間でした。

そんな中、超ラッキーなことにホワイト企業に拾ってもらえることになったのです。仕入・開発・生産・販売までを全て内製している点、若いうちから幅広い業務を任せてもらえるベンチャー気質な点、さらには会社全体を俯瞰できる経理職という点が僕にとって魅力的でした。二つ返事で内定を承諾し、就職することになりました。

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