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株式会社DERTA創業を振り返って

新年あけましておめでとうございます。さかしゅんです。
気がつけば約2年ぶりのnote投稿です。

おかげさまで本日1月4日、僕の所属する株式会社クーネルワーク7周年株式会社DERTA(デルタ)は1周年を迎えることができました。

これまで、まとまった記事を出すときはクーネルワークでの振り返りを中心に書いていましたが、DERTAについて書いた記事があまりなかったので、創業前のあれこれや僕たちのことを、1年間の振り返りと共にまとめてみようと思います。(2社一気に振り返るのは難しかった)

ちょっと長くなりますが、改めて皆さんにDERTAのことを知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。

創業前:そもそも、なぜ法人化したのか

株式会社DERTAの前身は、Web/IT系の勉強会・交流会コミュニティ「デルタ新潟(現:cos DERTA)」です。現在、CDOを務めている美智子さん(@mity)と地域の課題感を共有し合う中で、「とりあえずやってみよう」的なノリから始まりました。

当時から僕たちがテーマとしているのは「首都圏と地方との情報格差」。
インターネットである程度の情報はどこにいても手に入る世の中ですが、最先端の情報は理解や習得が難しく、現場に眠っていることもしばしばです。

お互いに「こういうことで合ってるよね?」と確認し合ったり、議論を通して理解が深めたりができるような場や、それぞれの分野の最先端を持ち寄って気軽に話せるような場が欲しかった僕らは、手始めに交流会兼勉強会を開催することにしました。

「まずは10名くらい集まればよし」と思っていたところ、話を聞きつけて来てくれたのはなんと30人オーバー。知ってる人に声をかけただけで、SNSなどで告知したわけではありません。「同じように課題感を持っている人がこんなにいるんだ!」と本当に驚きました。

その後は、有名講師を招いて100人のミートアップを開催したり、首都圏で人気のコミュニティとのコラボ企画を実施したりと、さまざまな実験を繰り返してきました。

2019年5月に開催した第2回ミートアップの様子。100人も集まってもらいました。

その後も、コミュニティを続けていく中で、地域課題を解決する新しいプロジェクトが生まれたり、新潟県のDX推進を呼びかける共催イベントの話が持ち上がったりと、想定外の化学反応が起こるようになりました。

2020年7月頃には、美智子さんや現COOの里芋くん(@satoimo5000)と「そろそろ法人化しないとかもね」「一般社団法人?株式会社?どっちがいいんだろうね」と、ぼんやり議論をしていました。

経済的にもインパクトを発揮していくことを前提に、最終的に株式会社としてスタートすることに。同じタイミングで現CAOの裕介さん(@yusuke1691)もお誘いしました。
裕介さんと知り合ったのは共通の知人からの紹介。一方的に尊敬していて、定期的に連絡を取っていました。

2021年夏頃、裕介さんに状況の変化があり、秋頃にお会いしたタイミングでDERTAの紹介とお誘いをしたところ、物凄く興味を持ってもらえました。その後、改めて具体的な事業説明をする機会も別でつくったのですが、結果的に事業の話をしないまま「やろうやろう」と二つ返事でOKをもらいました(笑)

裕介さんのキャリアのほとんどは法律や不動産業界。デジタルやデザインとは少し縁の遠い業界だったようですが、それにも関わらず前向きな返事をもらえたことが嬉しく、ますますリスペクトが深まりました。今でもみんなで「裕介さんが一番クレイジー」と笑い合っています。

参考:CAO裕介さんのインタビュー「元司法書士×経営者が、新潟ベンチャーで考える地方デジタル化の未来」

創業直後。商売繁盛を祈願して役員4名で白山神社に行ってきました。

仲間選びはスキルや能力よりも純粋に一緒にいて楽しいかどうか、波長が合うかどうかの方が遥かに重要です。ありがたいことに集まってくれた方々は粋な人ばかり。ご一緒したいと思っていた方が集まってくれているのは本当に嬉しいし、今後の展開にワクワクしています。

創業前:複数経営から見える視点を求めて

僕は直送計画KITAMAEMockhouseを運営する「株式会社クーネルワーク」の創業メンバーの1人です。1人の経営者として、CFOとして経営企画や財務、新規事業領域に携わっています。

クーネルワークはまだまだ成長期の会社です。そんな中で別会社を立ち上げるのは、やはり葛藤がありました。「坂井がやめるんじゃないか」と心配をかけるかもしれない。気が回らなくて誰かに負担をかけるかもしれない。

また、創業期にとても大変だった記憶があるので、もう一回やるのかと思うと本気で悩みました。経験しているからこそ、当時より効率的に動けるかもしれない。しかし、何もないところから“イチ”を作るのは相応のパワーが必要でもあります。成果を出すためには一定の時間も、気合も根性も必要です。そこまで腹を括ってやりきれるかどうかも不安でした。

でもやっぱり、新しい世界を見たいという気持ちも強く、結局スタートしちゃいました。

社内外ともにやはり賛否両論あったようですが、人それぞれ前提が違うのだから当たり前です。自分自身が最善な判断だと納得できるまででも、1年以上かかっています。

すべての人に分かってもらうのは難しいと思いつつ、自分にしか見えていない景色があり、課題があり、必要だと感じることがあったので踏み切りました。

実際、2社の経営に携わることで生まれるシナジーには期待しています。
別分野での経験や、新たな繋がりを生み出せる。また、意思決定の場数が増えて、CFOとしてだけではなく社長としての経験も積むことができる。

それはクーネルワークにも必ず還元できる。この確信があったので一歩を踏み出せました。

創業後:「cos DERTA」こそがDERTAの核

創業後も、僕たちDERTAのベースは変わらず、共創型クリエイターコミュニティ「cos DERTA(コサインデルタ)」の存在が最重要です。

あくまでメインはコミュニティ。
コミュニティを支え、持続可能な形にするのが株式会社DERTAの役割です。

「cos DERTA」は、地域に散らばっている才能ある”個”が集まり、地域に対するそれぞれの想いを乗せて、課題解決に向けた動きやうねりを生み出し続けるような場であってほしいと願っています。

最近、Web3.0の文脈でDAO(=自律分散型組織)がよく話題に出ますが、目指す理想像に近いです。僕や会社が先頭に立つ組織ではなく、参画してくれる一人ひとりが際立っていく場作りを行いたいと思っています。

いつの時代も、未来の可能性は必ず「人」にあります。
特に最近の新潟では、首都圏の第一線で活躍していたような人が、オンラインで仕事を続けながらフラッと帰ってきて、誰とも交わっていなかったりしている。そんな人たちがコミュニティに加わり、互いに持っているポテンシャルを持ち合い、新しいプロジェクトが始動する。これこそがコミュニティの力だと感じています。

2022年8月に発生した新潟県村上市の豪雨水害。復興支援のクラウドファンディングが話題に。

昨年、2022年9月に実施した新潟村上の豪雨復興支援のクラウドファンディングも象徴的な事例です。

2022年8月に発生した新潟県村上市の豪雨水害。
cos DERTAのコミュニティメンバーであり、天然山菜を扱う地域商社「株式会社いろむすび」を経営する古林さん(@f_taku1008)の運営する店舗が被害を受け、営業停止に見舞われてしまいました。

コミュニティの中で、多くの心配の声が挙がると同時に、「自分たちにも何かできないか」ということで立ち上げたクラウドファンディングが2日で目標達成。最終的には目標額の159%にあたる300万円超を集めました。

所属の異なる人たちが職種・業界を横断し、自分ができることがないかと集まり、あれだけのムーヴメントを生み出したのはまさにコミュニティの力だなとつくづく感じています。

参考:【新潟豪雨復興支援】新潟村上の天然山菜をもう一度届けたい!(いろむすび山菜屋)

創業後:地域とクリエイターの架け橋「sin DERTA」

2022年の取り組みを象徴する一つに、cos DERTAメンバーたちとリリースした新潟特化型クリエイター検索サービス「sin DERTA(サインデルタ)」があります。

コミュニティの中だけでやりたいことで完結すると自分たちがやりたいことに終始してしまうことがあります。一方で、外に目を向けるとクリエイターの力やつながりを求めている人たちは沢山いる。なので、外側とつながるプラットフォームとして「sin DERTA」が生まれました。

ここに相談や課題が集まるようになると、その課題を解決するために「どんな面白いことができるだろうか?」とコミュニティの人たちが考え始める。将来的には新潟県中にいる人が集まって「コト」の起爆剤になるプラットフォームにしていきたいです。

「sin DERTA」はまだまだクリエイターを募集しているので、興味のある方はこちらからご連絡ください。

創業後:行政・企業と連携し、オープンイノベーションを

株式会社DERTAには、「コミュニティのクリエイターが大きく力を発揮できるように、企業、自治体、大学・研究機関との連携を強化する。オープンイノベーションを促進する環境構築に努める。
地域の中で人と企業を育てる社会装置となる」というテーマもあります。

例えば2022年12月に新潟・古町エリアにある地下街西堀ローサで行った「古町夜市」。DERTAメンバーでもあり、独立して複業を実践しながら古町エリアの活性化につながるメディアプランニングを行っている永井さん(@daichi_nagai)が主宰のイベントです。関係各所への根回しやキーマンの紹介などで協力しました。

西堀ローサを活用した民間イベントは約50年の歴史の中で初だそうです。
過去にイベントをやりたいと考えた方はたくさんいたそうですが、様々な管轄があり、それぞれの管理者への許可取りが必要で難しかったようです。

新潟をはじめ地方には素晴らしい資産がありますが、なかなか手の届きづらいところにあったり、意外と知られていなかったりするものがたくさんあるように思います。

DERTAが関係各所と事前に握手しておくことで、クリエイターの創造性を最大化するきっかけになればと思います。この動きは今後加速していきます。

現在:コミュニティの可能性を拓くDERTAの役割

先ほどと重複しますが、DERTAの活動の軸にはコミュニティの存在があります。「コミュニティの可能性を広げるために何ができるのか」は、新しい価値を作る上で常に意識していることです。

ミートアップの様子。この日は遠隔密着共創集団Goodpatch Anywhereさんとのコラボも。

なぜこんなにもコミュニティにこだわるかというと、いつの時代も変革を進めるのは人の力だからです。

今、DXが注目されていてバズワードになっていて、世の中の目はD(デジタル)の方に向きがちです。でも本当は、X(トランスフォーメーション)のほうが重要だと思います。

変化の激しい時代、価値がどんどん変わっていく時代で生き残るために、自分自身も会社もいかに変革し続けられるかが一番重要。その大前提としてデジタルがある、という位置付けなのかなと。

今は誰もが電気を使って当たり前に仕事をしていますが、デジタルもいわば「電気」のような位置付けになります。今の時代、誰も「電気を使って仕事をしよう!」なんて言ってないように、デジタルも同じ位置付けになるということです。

その変革を起こすのは誰か?間違いなく「人」です。
人は環境によって成長・変化する生き物だと思います。動画を見て知識をつけるのも大事ですが、変わり続けるのが当たり前だという環境をつくることが大事だと思います。

こうした環境に身を置くと意識や視座が自然と変わり、現状維持はイケてないね、という人が自然に増えてゆく。

成長し続けられる環境として、コミュニティの可能性を信じ続けています。

未来:2期目について

改めてこの一年間を振り返ると、実行に重きを置いてDERTAの可能性をいかに広げられるかに挑戦してきたと感じます。

サービスデザインやワークショップのお手伝いをさせていただくだけでなく、挑戦者としてもサポーターとしてもイノベーションプログラムにも参加したりと、とにかく視野が広がった一年でした。

今期はDERTAの役割・やるべきことにフォーカス。蒔いた種の中から伸びそうなサービス・事業を選び、集中的に育てていきたいと思っています。

チームとしては、「みんなで乗り越えるカルチャー」を会社としてもコミュニティとしても作っていきたいです。様々な立場の人が協力して未来を作ることこそがまさに共創。デザインの真髄だと思います。

団体や会社が違うとそれぞれの前提があり、話す言語が違ったり、組織の論理が違ったりして、なかなか協力関係になりづらい側面がありますが、そこを解きほぐすような動きをしていきたいです。

世界的に閉塞感がある状況ですが、一人ひとりの希望が連鎖して「もしかしたら自分もできるのでは」「変えられるのでは」という世界線を作るために頑張ろうと思います!

ちょっと余談ですが、DERTAは数学記号の「Δ(デルタ)」をモチーフにしていて「差分」を意味します。ネガティブな差分(格差)は埋めていき、ポジティブな差分(成長)は積極的に作り上げていきたいです

未来:地域社会にとってのビジョナリーでありたい

先日、広報担当のごんちゃん(@goooongonn)に「DERTAとしてどうありたいか」と聞かれた際に、「地域社会にとってのビジョナリーでありたい」と答えました。

生きる意味を探している人、将来を不安に思う人、自分にしか出来ない何かを探している人。そんな人が僕たちを見た時に「世の中まだまだ捨てたもんじゃない。きっと未来は明るいんじゃないか」「自分も何かできないか考えてみよう、動いてみよう」と思えるような可能性を示し続けたいと思っています。

これはごんちゃんから教えてもらいましたが、ナポレオンは「リーダーとは希望を配る人のことだ」という名言を残しているそうです。地方の希望になりたいと言うとおこがましいですが、ビジョナリーとは何かと聞かれたときに“希望を配る存在”というのは、いい言葉だなと思って気に入っています。

地域社会の課題を解決しつづける仕組みを作り、他地域に展開していくことが、ひいては日本全体を元気づけることにも繋がればと願っています。

さいごに

最後になりますが、僕自身が何かに迷った時は、いつも10年後の自分が今の自分を見た時にどう感じるかという視点で物事を決めています。振り返ったときに、どんな道を歩いていたら将来の自分に胸が張れるのか、という視点です。

自分の枠組みや見える景色を広げていきたくて、そのために挑戦し続けること、変化し続けることが大事だと思っています。(こういう探究心は、子どもの頃から人一倍強かったような気がします)

世の中がどんどん変わる中、10年前20年前には考えられない世界が今僕たちの目の前に広がっています。変化と成長に貪欲であり続けたいです。

目下の課題としてはDERTAを一言で説明できないこと。まだまだ解像度が低く、核心をつくような言葉を見つけられていないので修行します(笑)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして皆様、2年目のDERTAもどうぞよろしくお願いします。

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