見出し画像

僕は…。

もしも僕が、君と同じように女の子だったなら
恋の相談にのりながら、そっと唇に触れるんだ。

人差し指でふっくらとしたその唇をなぞり、細い目をして瞳を覗き、頬から首筋に手をまわす。
不意を打たれた君が、大好きな片思いの彼のことをうっすらと想い浮かべたタイミングで、

「彼とのキスもこんなんかな…」て、君に言う。

もしもぼくが女の子だったなら、
そんなぼくの本気に、君は気づかない。

泣いたり笑ったり、飛んだり跳ねたりする天真爛漫の君が、
苦しそうに悩んでいる姿を僕は見ていられない。
そんなに彼がいいの?

どうして僕じゃダメなの?

君は、僕とは恋愛感情にならないから話せるだなんて…。
僕は君が思うほど強くない。

バイト先の背の高いあいつ。
嬉しそうに話す家族との会話と
薬指に揺れている指輪。
なんでそんな彼を好きになったの?

僕はフリーだ。だけど幼馴染の僕じゃダメなんだ。

もしも僕が女の子だったなら
泣いてる君のそばに居て、その震える肩を引き寄せて、この胸に君が身を委ねても、
誰かが君をからかって、これ以上傷つけたりはしないから…。

君と一緒に泣くだけ泣いて、
涙と鼻水でぐじゃぐじゃになったふたりを互いに笑いあい、
「お腹すいたね」って言っては、甘いアイスを食べるんだ。

アイスは、こじれた思考を解きほぐす。
だけど君はまたすぐに、彼を想い出して涙する。

もしも僕が女の子だったなら
愛おしい君を抱きしめて、優しくその髪を撫でてあげる。
すると君も安心して僕にもたれてる。

僕は女の子ではないけれど、
君のことを守りたい。

僕は…
君のことが好きなんだ。






最後までお読みいただき
ありとごうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。

甘野充様の企画に参加させていただきました。


















この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

最後まで読んでくださりありがとうございます。 もしよろしければ、サポートして頂けると嬉しいです。 記事を書くための書籍購入に使わせていただきます。