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日記

この人と結婚したら

結婚する時、パートナーと暮らす時
わたし達は子ども時代のステージが終わり、
次のステップへ

子ども時代には家庭の事情でコントロール出来なかったことも
『自分の家庭』ではもっと主体的に人生をコントロールすることが出来る。

子ども時代のゴールそして新しいスタート
楽しい思い出の続きであり辛い思い出の終わり。

今までの人生これからの生涯。
人生は私たちに深い傷を残すこともあるでしょう‥でも
その傷ついた心がわたし達の生涯で最も強い『よりどころ』となることを‥。

家族がいるから、生きて行ける。
互いに支え合っているから乗り越えられる。

新しい家族は古い家族ものみ込んで更に大きな絆になることを
遥か先のことようで路瑠にはまだ分からないことかもしれません。

路瑠(みちる)の日記のはじまりです。


路瑠の実家は毎日喧嘩が絶えなかった。

父は母に暴力を奮うし母をかばうとトバッチリがくる。
家はピリピリと緊張して、

ホッとする居場所ではありませんでした。

幼いころからモヤモヤとどうにかしたい気持ちが渦巻いていて

路瑠が年頃になった時今までのことを反面教師にして、
私は『幸せな家庭を築くのだ』と心に決めていました。

「この人と幸せな家庭を築く。」

路瑠が将来結婚する相手はプラント溶接の社長の息子。

義理父の仕事場は石油プラントの溶接や
高速道路の橋桁や空港の設備の大きい現場の仕事。

義理のお父さん豊秋は両手利き手で溶接が出来る腕のいい職人。

お酒は飲まない下戸で明るい人柄、
職人仲間から「秋さん、秋さん」と親しまれ、
溶接業界では顔が広く元請けからの仕事の依頼も多かった。
当時は職人を5〜6人雇い年商も結構稼いでいる。

でも、無心してくる職人さんにお金を貸し、お得意先と飲みに行っては奢るから
義理のお母さんは苦労続きで少し愛想をつかしている。

息子は高田の馬場のデザイン会社に勤め。

バブルの時代だったからホテルやオフィスは自注の家具を注文し
オリジナリティーを出す為にポストモダンやハイテク建築
都心は高級感で溢れている。

デザインさえ好ければお金に糸目を点けないお得意様。
仕事は面白く会社は儲かっていた。

社長はポルシェを乗りまわし彼氏もバイクを乗りまわす。
アマチュアレースに出て仲間と趣味を楽しんでいる人。

義理父譲りの彼は優しくユウモアに溢れめったに人と喧嘩をしない。


私は、「この人と結婚して、幸せな家庭を築く」
「もう、争いや揉めごと喧嘩ばかりの人生はいやだ。」

路瑠が幼い時、
母は、路瑠達を連れて秋田の実家に逃げること数回。

その都度父が追いかけて来て『連れ戻されて、家に帰る』の繰り返し…。

この家から逃げ出したかったかけれど、幼いから逃げ方を知らなかった。

離婚する訳でもないのに父は「お父さんとお母さんのどっちに着いていくんだ?」と
問いかけることがしばしば、その度に「お母さんに着いて行く」と答えると

父は不機嫌に‥でも母のことが大好きだから嘘はつけない正直者の路瑠。

そんなある日のいつもの日常、

普段通りに母が『お買い物に行ってくるね』と
出掛けたっきり母は帰ってきません。

夜になっても
次の日になっても


母は帰ってきませんでした。


路瑠はまだ小学生でした。

第1話

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