東京パフォーマンスドール「One Day One Life」

曲中にピアノパートがあると落ち着く。ピアノを習っていた経験故なのだろうか。
答えになっているかは分からないが、「音が分かる」安心感も理由の一つではないだろうかとみている。

僕は狭義の絶対音感(音階はもとより、オクターブまで当てる)はないし和音を構成する音も分からないが、ピアノであれば単音くらいなら分かる。非常に精度の・確度の低い絶対音感といえるかもしれない。

東京パフォーマンス(TPD)の「One Day One Life」もまた、ピアノの旋律が特徴的な曲である。目立つのはあくまでイントロや間奏くらいではあるのだが、それでも落ち着いた雰囲気を感じさせるには十分だと思う。

この曲はシングル「Shapeless」のカップリング曲なのだが、ライブの後半で使われるなど重要な位置づけを占める。

YouTubeの公式アカウントに上がっているこのライブ映像では、リーダーの高嶋菜七さんが手拍子をお願いしているが、ドラムの気持ち良い音に包まれると手を叩きたくなるばかりかバスドラに合わせて足踏みもしたくなる。

この曲については、浜崎香帆さんのボーカルについて触れようと思う。

メンバーの浜崎香帆さんの優しい歌声がピッタリとハマる曲ではなかろうか。

浜崎さんは、高嶋さんと肩を並べる歌唱メンバーという認識なのだが、歌声の豊かさが特徴だと思っている。

例えば、声の力強さ。
ライブを見ていても、曲の中に浜崎さんのパートが入るだけで一気に芯が通ったように感じることが多い。単なる声量の多さでは無いと思うのだが、非常に安定しているなと思っている。前回観たオンラインライブでは無観客のためファンの声援も無く、メンバーの歌声がはっきりと耳に入ってくる。その中であっても、浜崎さんパートは安定感があった。

一方で、「One Day One Life」には芯の太さは求められていない曲である。そういった所では浜崎さんの歌声が優しいものに変わる。本当に語っているのかのような柔らかい歌声なのである。

TPDのライブレポを毎回詳細に書いているザテレビジョンの方の記事でも、浜崎さんの口調などに触れて「聖母のよう」「子供によびかけるような」とたびたび評していたかと思うのだが、これは歌声にも当てはまる。聖母のよう、というのは至言だと思う。

この曲の歌いだし、「足りないものばっかりだけど　足りないから成長するの」のパートを他でもない浜崎さんからスタートしたことは、彼女の歌声が一番この曲に合っているという予見あってのことからなのかもしれない。