共有地の悲劇 (tragedy of the commons)について

経済学の話には、面白い議論があります。例えば、「共有地の悲劇」。
個人的な利益を優先することで、過剰に利用してしまい、共有の資源が損なわれ、資源の破壊や枯渇が引き起こされることを意味し、1968年にアメリカの生態学者であるギャレット・ハーディンが提唱したもの。彼は、共有の牧草地を例にとり、共有地の牧草地で牛飼いたちは、それぞれ自分の利益のために牛を増やそうとします。彼らが牛を増やすことで、共有地の牧草地は過放牧となり、餌となる草はどんどん減っていきます。本来なら草は時間をかけて再生しますが、牛が増えすぎたことで、草の再生できる範囲をこえて食いつくされてしまいます。限界のある資源は失われ、利益を得るために牛を増やしたはずが、その共有地を利用していた牛飼い全員が破滅へと向かうことになります。(以上、ネットより)
同じようなことに、ホテルのロビーに置いてある、コーヒーやお茶のパックで出会いました。無料と思って、個人個人がたくさんとっていき、すぐなくなり、補充にお金がかかります。そこで、ホテル側は、各部屋に置くことにするのですが、手間が増えます。

オストロム(Elinor Ostrom、1933年8月7日 - 2012年6月12日)は公共財および共有資源(CPR、Common-pool resource)を研究し、公共財やCPRの管理について、それまでの政府か市場が対処するという主張に異議を唱え、資源を管理する効率性は市場でも政府でもなく、コミュニティが補完的役割を果たしたときに最も効果的になることを示した。オストロムは公共財およびCPRの自主管理(セルフガバナンス)において、長期間持続する制度には、次のような設計原理があると論じた。
1.グループの境界(および外部の無権利者の効果的な排除)と共通プール資源の内容を明確に定義する;
2. 地域の状況に適応した共有資源の利用と提供;
3. ほとんどの資源充当者が意思決定プロセスに参加できるような集団選択的取り決め;
4. 資源配分者の一員またはその説明責任を負う監視者による効果的な監視;
5. コミュニティのルールに違反した資源利用者に対する段階的な制裁措置;
6. 安価で利用しやすい紛争解決メカニズム;
7. 上位当局が認めるコミュニティの自己決定。
8. 大規模なコモンプール資源の場合、小規模な地域CPRを基本レベルとして、何層にも入れ子状になった企業組織。
これらの原則は、効果的なコミュニケーション、内部の信頼と互恵性、資源システム全体の性質など、自己組織化された統治システムの成功に影響すると考えられる多くの追加変数を含むように、その後わずかに修正され、拡張されてきた。
オストロムと彼女の多くの共同研究者たちは、包括的な「社会生態系システム(SES)フレームワーク」を構築し、現在も進化を続ける共有資源と集団的セルフ・ガバナンスの理論の多くが、このフレームワークの中に位置づけられるようになった。(以上、ウィキの翻訳)

エリノア・オストロム著、コモンズのガバナンスの翻訳書が出ている。
その関係者に水の管理で、友人がまとめた、
Sociocultural Dimensions in Water Resources Management | Asian Development Bank (adb.org)
を読んでもらいたいと思う。同様な議論が展開されている。

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