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会いたい人に会えなかった日

1日を振り返って気づく。
あぁ、わたしSさんに会うの楽しみにしてたんだ。

看護学生だったとき、わたしは実習に行くことから逃げかけたことがあった。
3日間実習をサボり、逃げきれなかった4日目の朝、病棟へ行く前に職員室に挨拶に行くと、
「あんたを待っとる人がおる。」
と、教務主任のひと言。
そのひと言に背中を押され、なんとか病棟に戻った日があった。
わたしを待ってる人がいると思うと、勇気が湧いたのだ。

今日のわたしも、
「今日もわたし来たよ!待っとったろ。」
と言わんばかりの態度でグループホームへ。

ん?
Sさんがいない。

夜中に転倒し、大腿部を骨折したのだと。
全身状態を考えると手術するにはリスクが大きく、予定されていた手術は延期となったと記録されていた。

最後に会った日、「生きて父ちゃんに会えんのは、悲しい。」とはっきり言っていたSさん。
そろそろ父ちゃんに会いに行こうかと、心を決めているのかもな。
ずっと寂しそうにしていたSさんは、笑顔が素敵でお茶目で、穏やかな人だった。

そもそも派遣で入っているわけだし、そうでなくてもいつが最後になるかはわからない。
だからまぁそんなこともあると受け入れていたつもりだったけど、今日、Sさんに会えなくて寂しかったな。
そんな自分を感じて寄り添うこと、忘れてた。

待ってる人がいることもあるかもしれなくて、それは嬉しいことだけど、会いたい人がいるってしあわせなことだなぁ。



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