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【超短編小説】同窓会での再会

 20歳の同窓会。
 高校の時の同窓生たちが集まる。

 みんなどんなふうになっているかな?
 そして、彼女はどうしているだろう?

 彼女はみんなの憧れの的だった。
 僕も彼女の取り巻きの一人だったわけだが、最後は僕にとって悲しい結果になってしまった。
 彼が奪って行った。
 そんな彼女とどんな顔をして会おう?

 みんなが集まっていく。久しぶり〜。元気そうだな。変わらないなあ。いや、お前は変わった。
 そんなやりとりがなされる中、僕はドキドキしながら彼女を待つ。

 そして、彼女がやってくる。
 あいかわらずの美人ぶりだった。

 僕と目が合うとニコリと笑った。
 ドキリ。
 いけない事だとわかっていても、胸の高鳴りは止まらない。
「矢吹くん久しぶり。元気だった?」
「勝見も元気だったか?」
 すると彼女は顔を曇らせて、
「私名字変ったんだ」
 と言う。

 なんてことだ。名字がかわったとは! つまりそれは・・・
 僕の中に闘志が湧き上がってくる。
 たしかに、"彼女"の存在は僕にとって大きすぎるかもしれない。
 でも、乗り越える。乗り越えて見せる。

「連絡先交換しないか?」
「でも私は・・・」
「いいから、さ」

 そして、連絡先を交換してその後・・・
 僕らは付き合い始めた。

 彼女には子供がいる。もう結構大きい。なにしろ高校時代に妊娠して、学生結婚したのだから。
 女の子だった。

 でも、"彼女”の存在も僕は受け入れよう。
 それくらい僕は憧れ続けた彼女に夢中だったから。
 
 いま、僕は幸せだ。

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