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もどかしい!本当に「好き」な人??

はじめに、私はマセクシャルである。マセクシャルとは恋愛対象が男性である男性のことを指す。ゲイとの違いは、定義に性自認が含まれていないこと。自分の性自認を確定したくない(する必要が無いと思っている)ため、マセクシャルと自覚している。しかし、マセクシャルという言葉の知名度が低いため説明するとき(滅多にないが)はゲイと名乗っている。以下の記事は、便宜上、男性が恋愛対象である男性のことはゲイと称する。

余談はさておき、とにかく同性愛者である私には、その自覚が芽生えてから両思いになる可能性を期待しながら誰かを好きになったことがなかった。好意を抱いても、または抱かれても、セクシャリティの障壁がある限り相互に愛し合う関係にはならなかったし、想定すらしていなかった。実らせようと努力したり、もどかしい気持ちになったりすることすらなかった。そういうわけで、中学1年生の秋に彼女に振られて以来、正常な恋愛経験を全くしていなかった。

2023年。恋愛経験が限りなく疎かなまま大学2年生になった。決して彼氏が欲しくないわけではなく、むしろ厭世観と希死念慮に抗うために、絶対的な生きる目的をつくるために、ずっと彼氏が欲しかった。私は、不安を抱えながらも出会いのチャンスを広げるためにマッチングアプリを始めた。直接的な彼氏作りや肉体関係作りではなく、ゲイの友達をつくることを目的として運用している。共通のゲームをやっている人にアクションを起こしたり返したりして、何人かとマッチングした。ところが、「何年くらいやられてるんですか?」「フレンドなりませんか?」「お時間合うとき一緒にやりましょう」という形式的なやりとりを一通り終えてから全く話さなくなるという流れがほとんどだった。1人を除いては。

以下、その1人をSさんとする。Sさんは、私が「今度やりましょう」と送ったら「○○日あたりの夜できますか?」と日時を指定してお誘いをくれた。もちろん約束をし、初めての通話&ゲームを楽しんだ。めちゃくちゃ楽しかった。ただでさえ貴重なゲイ仲間であるにも関わらず、Sさんと私には共通点がたくさんあった。おまけにゲームの熱中度が近く、通話の雰囲気も始終良かった。後日2回目、3回目の通話を経て、ついに会う約束をした。
私は午前中だけ学校があったため、午後から約束し、カフェとカラオケに行った。私は極めて理性的な人間で、関係が浅い人の前で巫山戯たりはしゃいだりすることを恥ずかしく思ってしまう。特にカラオケは仲の良い特定の友人以外と行くと盛り上がりの中に恥ずかしさを感じてしまうことが多いため、当日カラオケに行くことになって不安だった。それでも、楽しかった。好きな曲のジャンルが近かったし、片方が歌っている最中にスマホを見たり飲み物を取りに行ったりしないという価値観が合っていた(関係の浅い人と2人で行くときはそうするべきだと思っている)から、リアクションや合いの手を取り合い、歌っているときも聞いている時も純粋に楽しむことが出来た。ついでに、マッチングアプリ内のプロフィールで顔はなんとなく分かっていたが、実物の方が断然イケメンだった。

そんなこんなで、私はすっかりSさんを意識するようになった。常にLINEがくることを心待ちにしているし、早くまた通話して遊びたい、会いたい。あわよくば付き合えたらいいな…と思っている。しかし、待てよと。自制心を働かせる。

プロフィールの共通点の多さにより失いたくないフィルターがかかっていないか?

今までは、好きな人ができたとしても相手が私を好きになることは基本的にセクシャリティ的にありえないため、付き合う可能性を想像すらしなかった。しかし、やっと出会えたゲイの知人。お互いが恋愛対象になり得ることが分かっている知人。ましてや、置かれた状況が類似し、共通点が多々ある。状況的にこれだけ貴重な存在であると、ついこのチャンスを逃したくないという心理が働き、付き合うことを想定するにおいて障壁となる性格の不一致や相手の良くないところを無意識に許しているのではないか。見逃しているのではないか。つまり、言い換えると

現時点で好きと思うのは早計である

という可能性が非常に高い。私が本当にSさんのことを好きなのかも分からないし、ましてやSさんが私のことをどう思っているかも分からない。向こうから積極的に連絡や誘いがあるわけではないため、そこまで関心を持たれていないかもしれないし、ただのゲーム友達としてしか思われていないかもしれない。

なのに、私は浮かれている

既にそれだけ貴重な存在であることは確かだから。共通点をたくさん持っている安心感。無敵感。それを失わないために無意識に通されるフィルター。恐ろしい。

これから関わっていく中で、Sさんを本質的に好きだと言える自信を持てたら、まずは片思いの始まりである。私にとって久しぶりの、実らせようと努力したり、もどかしい気持ちになるような片思い。

関係がどう転ぶかは分からないけれど、こんな恋愛童貞の私を、どうか見守っていてください。


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