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Unit・ワンコBildingキャット・キャフェ結成

 トイプードルちゃんは言う。ボクなんてこの間、モップに間違えられて水につけ込まれて溺れ死にかかって危うく床板掃除器になるところだったんだよねぇ。ポメラニアンはつぶやいた。ボクは存在に気づかれなくて飼い主に踏みつぶされるところだったんだ。

犬たちは暗い楽屋裏でポツリ、ポツリと近況をそれぞれつぶやき始めました。

それをネコ達は、聞き耳をたててじっと聴き入っていました。ネコ達はロシアンブルーや
、白猫、茶トラ、黒猫でした。猫たちはのんきに前足で耳裏をナデナデ掃除していました
。明日は雨だな…………、と予感しながら。

彼らは将来的なビジョンとしてコメディ・グ
ループ・ユニットを結成するという夢を夢見ていました。猫たちは両目の端を前足で引っ張り、上ーがり目、下ーがり目、クルッと回ってニャンコの目,をしながら思案しました

猫たちの一匹、黒猫ちゃんが思い切ってニャン!!と鳴き楽屋の犬たちに声がけをして、提案してみました。自分達ネコとコント・ユニット組んでみないと?

犬たちは猫をじっと見つめて………正直、犬と猫って大昔から仲が悪すぎるくらい仲が悪い
んだから、ハッキリ言ってムリ!! と、気性の
荒いポメラニアンちゃんはキャン!! と吠えて黒猫を威嚇しました。

黒猫ちゃんは身をすくめ、怯えながらおずおずと後ろに下がって行きました。
そのさまをロシアンブルーはじっと見ていて
怯えた黒猫ちゃんをなめてあげました。怯えを取り除くために。
ロシアンブルーは犬たちの前でゴロにゃん、
をしました。わんこ達に自分達の事を分かってもらおうとして。

モップの様なトイプードルちゃんは少しの間、思案しての後に、口を開きました。

「意外に、それっていいカモしれないね…。」

と、しっぽをふりふり笑顔で笑いました。

白猫と黒猫は互い違いに入れ換わり、目も白と黒の目の色を入れ換えて文字どうりドギマギしてしまいました。足裏の肉球にジットリと汗をかきながら…………。

不思議に、さっきからかなりの数の金魚が宙を舞いながら、さも楽しそうに浮遊しながら
遊んでいました。赤い金魚が多数、黒い出目金魚一匹…………。
猫たちはその本能ゆえ前足でチョコマカと金魚達を捕まえようと必死に、そんな自分達に
何ら疑問を持たずに前足を繰り出し続けていました。

そして、やがて自分達の幼さが恥ずかしくなってきて………。茶トラちゃんが二本足で立ち上がり、両前足で器用に金魚の群れを、もて遊びながら嬉しそうに、ニャンニャン、ニャンニャン、笑顔で金魚達と戯れて遊び呆けて
いました。

ロシアンブルーは、じっと見ていて………金魚
と………猫と………、犬たち………、

アイデアマン、発想が抜きん出てるロシアン
の脳の前頭葉に、ふと、閃きが走りました。

空を泳ぎ舞い踊る、無数の金魚達を追い回して戯れながら、猫ちゃん達がキャット・ダンスを遊び呆けて踊り続けてダンスショーを大勢の客席の人間のお客さんに見て喜んでもらいながら、ワンちゃん達、二匹と曲芸や手品を披露しながら、人のお客さん達のアイデアや意見を聞きその都度アドリブを盛り込みながら、自分達のコントを、お笑いを喜んでもらい、ほがらかな気分になってもらうサービスを提供する。幸せなコント・ダンスショーで……。

犬たちも、その猫の提案に吹き出しながら、同意しつつ、細やかな訂正をしました。猫達とのコントをやりたい、コント・ユニットを結成したい夢が芽生えてきたようでした……。

そして、幾たびかの月日が流れていきました

沢山の人だかり……、いや、猫、犬だかり、
まれに、狐やタヌキ、アライグマが混じった
ケモノだかりするお店は大繁盛していきました。ワンコ・にゃんこ倶楽部ハウス、は誰一人知らぬ者のないライブ・ハウスになっていました。

無数の熱帯魚、金魚達がホール中を浮いて泳ぎ周り、4匹の猫がクラッシックなキャバレーダンスを踊りながら、ニャン、ニャン、ニャニャニャニャー、と歌い踊りながら場を盛り上げ、ポメラニアン、プードル犬二匹がタップ・ダンスをリズミカルにけたたましく足を鳴らし、シルクハット片手に手品を行い、ハットから真っ白な鳩がおびただしく飛び立つ曲芸、黒いステッキが犬の前足で湾曲したり、もどったり、伸び縮みする手品は、客たちに大好評で常に満員御礼状態でした!!

ライブ・ハウスのオーナーのミツユビ・ナマケモノはロハスに実にユックリとノロマに動きながら、ため息混じりにこう語りました………。


いったい……誰が、こうなるのだと予測出来たのだろう………わしゃ、理解不能じゃよ………。

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