桜と雨

　雨が降りしきる日。桜は見た目では満開気味。咲き誇る桜が大粒の雨に打たれ一枚一枚と花弁を濡れた地面に落とす。濡れた地面には落ちた桜の花弁で一面染まる。「晴れていたら綺麗に見えたのに」幼馴染みが憂うつな顔つきで落ちた桜の花弁を目にし呟く。その幼馴染みの姿を少し離れた距離で見守り口にする。「雨が降りしきる日でも桜は綺麗だよ。晴れた日には見られない光景が見られるから」幼馴染みはクルッと振り向く。「分かるけど雨が降るだけで憂うつ日和」幼馴染みが不満げにほっぺたをプクっと膨らませる。その姿が可愛らしくつい頭をポンポンと撫でる。
　カメラを持ち一枚二枚と雨が降りしきる日でも咲き誇る桜を撮影する。「桜の姿が晴れ渡る日よりも勇敢に見えるのは雨による効果だろうか？」被写体を見て考えると幼馴染みが甘えた声で「今度は私も撮影して」と近づく。次は幼馴染みの撮影会だ。やれやれと思いながら幼馴染みにシャッターを向ける。