真夜中二時
日付が変わって真夜中の二時。目も頭も冴えて眠れぬ夜にベランダに出てみた。寝室の電灯を点灯せず真っ暗闇だが足取りは真っ直ぐ。足音は囁かな狂った音階を立てながら。利き手にはスマホを持って。ベランダに出てみると何処もかしこもひっそりと寝静まる。ネオンがギラつく看板もまばらで寂しげ。東京等の大都会ならば真夜中の二時でもネオンがギラついてうるさかった?大都会だと眩し過ぎるのかな?ベランダ越しから眺める夜景は田舎の静かなる暗闇。そして時折強く荒々しく棚引く夜風。
暗闇の中スマホで推しのSNSを確認。
幼き日は寝室の電灯が消えることが恐ろしかった。人ならざるものが出現する気がして眠いのに眠れず。怯える毎日。二〇歳過ぎると眠れぬ毎日が続き真夜中を好んだ。真夜中の間なら赦されている感じがする。今までの過ち。世界で一番大切な人を傷つけたこと。謝る勇気がなく逃亡したこと。弱くて泣き虫な姿。それら全てを優しく包み込む気がした。
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