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はじめの写真展をやるなら(後編)

福島県を拠点に写真家をしている熊田誠です。

2023年5月に、海をテーマにした写真展「海とはなにか」を開催しました。

ギャラリーでの写真展を初めて行いましたが、前編の記事ではプリント、額装を中心に解説しています。


後編では、会場のレイアウト、展示施工、広報について詳しくご説明します。

【💡こんな方におすすめの記事です💡】
 ①写真展をいつかやってみたい
 ②展示施工って素人でも出来るの?
 ③SNS以外の広報って何?

主にフォトグラファー向けの内容ですが、②はデザイナーさん、③はローカルクリエイターにも使える情報だと思います。

それではご覧ください!

写真展の開催に向けて

会場のレイアウト

前編では、会場の寸法出しを終えた話をしていました。

次に、展示予定の作品をどのくらいの間隔、順番で展示していくか分かるレイアウト図を作ります。

展示数が30点近くになると、スタッフの手を借りて行うため、誰がみてもどのように施工するのか分かるようにしなければなりません。

レイアウト図(北面)
実際の展示。レイアウト図の向かって右側。

写真展で実際にレイアウト図で使った一部(北面)です。

図の上部に展示になった際のビジュアルイメージ。
下部は、施工する際につかう芯(作品のセンター)の数字が書かれています。

展示品の施工

4月28日(金)の午前10時、写真展会場であるアートスペースエリコーナに到着しました。

この日の最大のミッションは、翌日29日の写真展初日に30作品を展示するため、18時までに展示施工を終えることです。

やってみて分かりましたが、終日対応できるスタッフが最低3名。慣れていないなら4名は必要ですね。

終日対応は僕が1名、4Hのスタッフ1名、1Hのスタッフ1名で設営終了予定の1時間オーバーとなってしましました……(お昼抜きでなんとかです)

展示施工においての難所が、水平を出す(水糸を張る)ことです。

普段、よほどの欠陥住宅で気分でも害さない限り、建築物の水平を気にすることはないでしょう。

ですが、オートレベルで会場の四隅の水平を確認すると、結構ズレています。

展示の高さについて諸説ありますが、僕は床上から1450mmの高さで作品を展示することが多いです。

この1450mmの高さを四隅で守らないと、作品が並んだときに凸凹してしまい写真展の質が下がります。

写真展示について、オートレベルのレーザーを使った水糸を張る解説動画がありませんでした。

参考までにリフォームの床貼り動画を添付していますが、これは水糸をレーザーの位置より下(床材の面)に張ります。

写真展の際も基本的な考え方は一緒です。

ただ、既存の床上から1450mmなので、レーザーよりも上である高い位置に水糸を張るようになります。


【展示施工時に必要な道具】

・コンベックスメジャー(7〜10mくらい)
・巻尺(30mあれば間違いない)
・差金(長辺側が500mmでだいたい対応可)
・オートレベル
(建築の設計の人、DIYオタクの人は持っている)
・鉛筆
・水糸
・釘
・ネールハンマー(刺した釘を抜くため)
・水平器(20〜30cmで長方形のもの)


水糸を張り終えたら、巻尺を水糸の端から端まで沿わせます。
ピンや釘で止めれば、落ちてきません。

次に、レイアウト図にある各作品の芯の数値を見ながら、鉛筆で墨付け(マーク)します。

ここまでくれば、芯を基準に作品の内内(作品の裏を測れば分かる)と釘を打つ場所の墨付け後、釘を打つだけです。

芯出しからまとめると、

①芯(作品のセンター)に墨付け
②差金を使い、芯の左右(作品の内内)に墨付け
③差金を使い、②から真上の釘がかかる場所に墨付け
④釘を打つ
⑤作品をかける
⑥水平器を作品に乗せて、水平の微調整

以上です。
額装屋で働いた経験があるわけでもなく、こんな感じで出来るだろうとノリでやっているので、自分でもやれそうだなと思った方の参考程度になれば良いです。

写真展にキャプションボード、コンセプトボードを自作し、壁につける方もいると思います。

各ボードの作り方を参考までに添付します。

写真家のemuさんの解説動画ですが、とても分かりやすいのでおすすめです。

SNS発信以外の広報


今、この記事を読んでいる方はSNSでの情報発信が主流ではないでしょうか?

Twitter、Instagram、Facebook、Youtube、LINE、メルマガなど媒体は沢山あります。

僕自身、万を超えるようなフォロワーはいませんが、SNSで写真展の開催告知、DM以外にもやれることはあります。

意外と広報で見落としがちなのが、プレスリリースの投げ込みです。

お近くの市役所・役場などには、記者クラブなる受付窓口があります。
企画の概要書を指定部数を用意し、持ち込むことで新聞やテレビ局のメディアに届きます。

僕はいわき市役所と東京都庁の2か所に投げ込みをしています。

写真展のことについて、後に新聞記事やTV放映になる可能性がありますので、特にローカルのクリエイターにはおすすめです。

何度か記事などにしてもらうと、同じ記者さんと顔を合わせます。

自分のことに限らず、面白い地域の人やネタなどあれば繋げてあげたり、日ごろから良い関係性を作っておいた方が良いです。

いつだって、情報の最先端にいるのは、当事者含む内部の人とメディアの方々です。

尊敬する別ジャンルの先輩クリエイターが、いつも僕の3手先を進んでいて「どこから情報を仕入れているのですか?」と聞いたら、調べたいことについて、各現場に入っているメディアの担当者に話を聞いていると言っていました。

僕のように地域性が強く、その時代に合わせたテーマを写真にしているクリエイターは、なおさらアンテナを高くしておく必要があります。

まとめ

展示の施工について、地方だと業者も少ないですし頼むと高いです。
やろうと思えば、僕のようにやれます。
ただ、不安だなと思う方は水糸を張ってもらうまで、大工さん、DIYが得意な人にお願いしてみても良いと思います。
後は道具だけあれば、誰でもできます。

プレスリリース投げ込みは、フォロワーが何万人、何十万人にでもならない限りはやるべきで、呼吸するかのように淡々とこなしましょう。
現に、新聞を見て写真展に来てくれた人が5名ほどいました。
続ければ必ず効果が出ます。


以上となります。
長い文章を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

これからも、ローカルとクリエイティブを軸にお役に立てるような記事を目指して作っていきますので、noteをフォローしてくれると嬉しいです🙇










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