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本当に体験した怖い話

もう20年くらい前の夏。
私はめずらしい難病で大学病院に長期入院してた。この病棟は同じように原因すらわからない難病で長期入院を強いられて、先の見えない治療にげんなりしている入院患者ばかりで明るさは微塵もなかった。消灯後に不安ですすり泣く声が、聞こえることもあった。
そんな日々のなかでも入院患者で仲良くなる人々もいた。私は同室で年齢が近かったのM子とメールを交換して仲良くなった。

あるお盆休みに症状が落ち着いて感染症リスクの下がった人だけ2日ほど自宅に一時帰宅できることになった。私もM子もステロイドを多量に使用しているため感染の危険がありお盆も病院に残ることになった。4人部屋に2人になった。廊下から遠い窓際の明るいところを陣取って2人で仲良くマンガの貸し借りなどして時を過ごしていた。

そして夜、看護師が消灯を告げて部屋の電気を切っていった。まだ眠れないのになぁと思いながらも目を瞑ったが、しばらくすると廊下の東側からコツンコツンという規則正しいヒールの足音が聞こえてきた。
もう見舞客は帰ったし、医師も看護師も医療従事者は足音がしない履物を履いている。
コツンコツンというヒールの音が少しずつ近づいて来るのだ。
誰よ、ヒールなんか履いて夜中の病院の廊下を歩くなんて、非常識ね。

カーテンで仕切りされているが向かいのベッドのM子も眠れないようだ。何度も寝返りをしている。
コツンコツンはどんどん近づいてきた。いやだ、なによ、これ。誰よ?

そしてなんと
コツンコツンは私たちの病室に入ってきた。

もうヤダ!目元まで布団を被ってカラダはガタガタ震えだした。
コツンコツンはまだ歩き続ける。
でもその先は壁だ。壁の先は9階の空間。壁を突き破る気?でもその後は死んじゃうよ。

コツンコツンは壁をすり抜けた。空中をコツンコツンと歩いていった。だんだんコツンコツンが小さくなり、そして、消えた。

M子が震える声で「壁すり抜けていったね…どこに行ったのかな?今日、リっちゃんのベッドで一緒に寝てもいい?怖いんよ」
私だっておしっこしかぶりそうに怖かった。病院の小さいベッドで朝まで眠れずに話したのだが、「退院したらハイヒールで歩きたかった人の霊かなー」「だったらかわいそうだね」

翌日は二人とも眠剤を処方してもらって朝まで眠ることができました。その後も入院しましたがそんなことは起こりませんでした。
お盆のあの夜だけの出来事でした。

最後までご拝読いただきありがとうございました。

#オカルト #夏の夜 #病院

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