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2023.3.28 詩 恵まれた私へ

汗と、
泥と、
血と、
愛液に濡れたその手から、
詩は生まれる、

貧困と、
徒労と、
寂寥と、
渇きで涸れたその手から、
詩が音を持つ、

今日も街では、
平和がビルの上で、
今日も赤線では、
愛が紙の上で、
今日も酒場では、
努力が机の上で、
さあ、語る語る、
雄弁な唇と共に、

けれども、詩人の唇は、
固く結ばれて、
コンクリートの地面や、
家庭や、
職場の中で、
ただ沈黙する、

マヤコフスキーを撃ち抜いた、
その血を、
田村隆一が立っていた瓦礫と、
祈りの中に、
唇はなかった、
けれど、
肉体、
この限りある肉体、
空間の中に、
満ち満ちていた、

忘るるな、
その手がまだ、
清潔なことを、

忘るるな、
その唇がまだ、
話に夢中になっていることを、

忘るるなきみよ、
忘るるな、

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