見出し画像

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語④

運転免許証取得、就活へ

自動車学校に通い始めました。
 
普通に他の人達と一緒に学科の授業を受けて、
教習車はだいぶくたびれた「ニッサン サニー」
手だけで運転できる装置に改造してあります。
初めて運転席に座って、車椅子は積み込まず、
教官が邪魔にならないところへ移動してくださいました
キーを回し、エンジンがかかった時はワクワクして!
右手を旋回装置に固定して、
オートマチックのギアをドライブに入れて、
左手でアクセルレバーを恐る恐る押して…
「わ!」
車が前に進みました!
動いた時には
「あ、簡単に動くんだ!」ってなにか自由になったような
運転しているときは障害は関係ない、普通な感じがした覚えがあります。
 
楽しく通い、教官とも仲良しになり、
「先生、今日のネクタイ素敵ですね!」
とか言うとおまけでハンコ押してくれたりして
(50年前の話なので、アナログです。教官のハンコを決まった数いただけると次のステップに進めるようなシステムだったと思います)
 
あっという間に仮免の試験を受けられようになったのですが、
仮免の試験では緊張のあまり、車庫入れで、
ハンドルを反対に切ってしまい危なく落ちるところでした。
運よく、試験管の教官が仲良しだったので
おまけで合格にしていただけたと、今でも感謝しています。
 
初めて路上教習に出たときは
「わ、楽ちん!」とスピードを出しすぎて注意され、
高速教習では思わずニヤリと笑みがこぼれるくらい楽しんでいました。
自動車学校の教官とは、命がけのお仕事ですね。
おかげさまで試験は全て1回合格、追加料金はかかりませんでした。
 
当然のように、車は新車を買っていただきました。
(トヨタ スターレット)
本当は真っ赤なスターレットが欲しかったのですが、
値段が高くなるのでシルバーで我慢ガマン
ほんとに、今はもう言えませんが、両親には感謝しかありません。
 
自動車学校へ通いながら職業訓練も始まりました。
事務の仕事を希望し、
同じ事務なら少しでも給料が高い方がいいと思って経理事務を希望
通信教育で簿記に挑戦!
なんとか3級に合格。
そろばんも左手で挑戦!
どうにかはじけるようになり、
いよいよ就活に挑戦です!
普通に就職できるのでしょうか?
 
 
就活と言えば普通は
求人探し(ネットはなかったので、求人情報誌でしょうか?)
履歴書、志望動機
リクルートスーツで面接
など、
 
けれども、リハビリセンターには「職業前指導課」というところがあり、
就職して社会復帰を目指す人のために企業との橋渡しなどをしてくださっていました。
私自身は就活は何もしていなかったと思います
 
ある日、担当の指導員から
「障がい者の施設で会計事務員を探しているんだけど、どうかな?」
とお話がありました。
 
その施設では当時、車椅子の方が会計の事務をされていたのですが、
その方が昇進されるということで、後継者を探していました。
 
実家から車で片道3~40分のところにあり、
障碍者施設なので設備は心配なく
さらに上司は同じ車椅子ユーザー!
 
こんなうまい話があるでしょうか?
もちろん、
「お願いします!」
即答です


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?