エイプリルフール ㊹
子供のころは、エイプリルフールが楽しみだった。どんな嘘をついてやろうかと、ワクワクしながら考えたものだが、
いつからか虚しくなって、4月1日に嘘をつくのは止めてしまった。他人を騙しても、そんなに面白くないと感じるようになったのだろうか?口へんに虚しいで嘘だものね。
中島みゆきの昔の曲に『うそつきが好きよ』というのがあって好きだった。
仏教では「噓も方便」と言い、人を救うためであれば丸っきり否定をしていないし、ある程度の嘘は世の中の潤滑油になるだろう。
嘘をつくのは、才能だと思う。
うん、紛れもなく才能だ。
『推しの子』の星野アイは、アイドル(嘘つき)で、「キレイな嘘をつく」のが身上だ。
彼女が嘘をつく事で、彼女の魅力は倍化する。彼女は自分の為だけでなく、ファンの為にも嘘つきを続けるのだ。
明石家さんまは、笑いの為なら平気で嘘をつく。『明石家電視台』であったか、芸人の誰かが「話はどのくらい盛って良いのか?」という質問に、彼の答えは
「8割やな」だった。会場は大爆笑であったが、
でも、それで笑わせられるなら、誰も損はしない。
さんまにしてみれば、それが彼のスタイルであり、「腕の見せどころ」なのだし、この思いっきりの良さこそ彼が売れた一因であろうと思った。
逆に、面白い話を盛りもしないで素のまま語る奴は「腕がない芸人」となってしまう。それで6割くらい受けるくらいじゃダメなのだ「もっと盛らんかい!!」と叱咤しそうである。
ただ、ビートたけしは嘘が嫌いである。直言不遜が彼の持ち味なのだ。芸人やアイドルも様々なのだ。どっちを選ぶかはあなた次第だが、
芸に嘘は付きものだ。俳優も女優も、老人が若者を演じたり、若者が老けたり、泣いたり笑ったり、男が女を演じるのが歌舞伎だし、女が男を演じるのが宝塚なのだから。
しかし、嘘には悪質なものもある。詐欺事件のような犯罪は憎むべき嘘だが、それを「芸だ」とうそぶく詐欺師が居ても不思議はない。
「偉大な嘘つきは、偉大な魔術師だ」と名言を吐いたのは、かのアドルフ・ヒトラーである。
彼は、目的のために言葉を巧みに操り、事実を歪めて伝えたり、嘘をついて人々を扇動した。↑上の発言からも、彼が意識して嘘をついていたのはあきらかなのだ。
恐ろしい。
間違った才能も、世の中にはある。
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