26歳社内ニート2年目の備忘録② 〜逮捕〜

3日間の入社後研修が終わり、部署に配属された。
教育体制は無く、OJTで先輩を見て学ぶということだった。

しかし、外出するのは1週間に1度あるかないか。それも営業活動というより、たわいもない雑談をして定時が近くなると帰るというものだ。

入社して少ししてから部長から呼び出しがあり、驚愕の事実を知ることになる。

「実は言っておかないといけないことがある。君が入社する前の前任者は逮捕されたんだ」

普通そういうのって先に言わない?

そう思った。

どうやら、前任者の逮捕により顧客からの信頼が地の底に落ち、仕事が激減しているらしい。
先輩も暇そうにしている。この先輩はパワハラ気質のあるバツ2の人で、自分の意見が通らないと感情的になり激昂する。

上司も、仕事が無く暇そうにしている。仕事が無いから僕が暇そうにしていても注意ができない。部長もそれを黙認しているというヤバイ状況だ。

入社したのに、担当する仕事が無いまま1年が経った。

会社の雰囲気には慣れた。営業会社であるが驚くほど静かな雰囲気だ。

前職ではブラック企業で朝から晩まで仕事をしていたことを考えると、
環境によってこんなにも日常って平和なんだなと思った。

大学、高校の同級生に会うと、みんな愚痴をこぼしながらも、やりがいを持って仕事をしているように感じる。
それに比べて自分は、いっちょ前にスーツを着て出社をするがやることといえば、ヤフーニュースのコメントの喧嘩を見たり、野生動物の生態を調べたりと、しょーもないことだ。

「働き盛りのこの年齢をのんびり過ごしていていいのか?
ブラック企業時代のことを思い出すと、のんびりできている今はいい環境なのでは?」

今、この暇な時期を使って、自分が本当にやりたいことは何なのか。それを探す時間なのかもしれない。

不思議なことに、人間は今いる環境にケチをつけたがる。忙しいと暇を求め、暇だと忙しさを求める。
社内ニートじゃない人からすると驚きかもしれないが、一日中暇なことの方が、忙しいことよりも苦痛だ。

ブラック企業時代は毎日ヘトヘトになるまで働いて、身体を壊してしまった。
でも、忙しい方が誰かに必要とされている感じがして充実していたのかもしれない。

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