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時間の終わり

夜が深まり、僕はいつものようにベッドに横たわった。静かな部屋で目を閉じると、心地よい眠気が訪れ、意識が次第に遠のいていった。しかし、その夜は何かが違っていた。

目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。周囲には何の光も音もなく、まるで無限の闇に包まれているかのようだった。僕は戸惑いながらも、立ち上がってみたが、足元に何も感じることができなかった。浮いているのか、落ちているのか、それすらも分からない感覚に陥っていた。

しばらくすると、遠くに微かな光が見え始めた。その光は次第に大きくなり、まるで目の前に星が現れるかのようだった。僕はその光に引き寄せられるように進んでいった。すると、目の前には無数の星々が広がり、宇宙の景色が展開されていった。


突然、宇宙全体が震え始めた。星々が一斉に光り輝き、次第にその光は暗闇に飲み込まれていった。まるで宇宙全体が終焉を迎えているかのような光景だった。僕はその光景に圧倒され、息を呑んだ。

光が消えるとともに、巨大な黒い穴が現れた。それはブラックホールだった。星々が次々とその重力に引き寄せられ、飲み込まれていく。銀河がゆっくりと崩壊し、無数の恒星や惑星が一瞬で消えていく様子を、僕はただ見つめるしかなかった。


ブラックホールが全ての物質を飲み込むと、次第に時間の流れが歪んでいくのを感じた。僕の周囲の景色が加速し、無限の速度で変化していった。まるで時が急速に進み、全ての出来事が一瞬のうちに起こるような感覚だった。

その瞬間、僕は宇宙の終焉を目撃した。すべての星が消え去り、銀河が崩壊し、ただ一つのブラックホールが残るのみとなった。そのブラックホールも次第にエネルギーを失い、縮小していく。そして、最後には完全に消え去った。

宇宙には再び何も残らなかった。真っ暗な空間が広がり、静寂が支配する世界に戻ったのだ。僕はその無限の闇の中で、自分が存在していることすらも疑わしくなっていった。


しばらくその暗闇の中に漂っていると、再び微かな光が見え始めた。その光は、先ほどの終焉とは異なる、温かく優しい光だった。僕はその光に引き寄せられるように進んでいった。すると、目の前に新たな宇宙が広がり始めた。

新しい星々が生まれ、銀河が形成されていく様子を目撃した。まるで宇宙が再生し、新たな生命が誕生する瞬間を見ているかのようだった。僕はその光景に胸を打たれ、涙がこみ上げてくるのを感じた。

新たな星々が輝きを放ち、宇宙全体が再び命を吹き込まれたかのように活気づいていった。僕はその壮大な景色に見入っていた。無限の可能性が広がる新しい宇宙が、僕の目の前で生まれ変わったのだ。


その瞬間、僕の意識は急速に引き戻され、目が覚めた。朝の光が窓から差し込み、部屋を明るく照らしていた。僕はベッドの中でしばらく動かずに、夢で見た光景を思い返していた。

夢の中で見た宇宙の終焉と再生。その壮大な光景は、僕にとって忘れられないものとなった。宇宙の終わりと始まりを目撃するという貴重な経験が、僕の心に深く刻まれたのだ。

僕はベッドから起き上がり、窓の外を見た。現実の世界もまた、新しい一日が始まろうとしていた。夢で見た壮大な宇宙の物語が、僕の心に新たな希望と勇気を与えてくれたように感じた。

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