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名探偵コナン最終回①ふたりの行方


 ジンとウォッカの会話。ついにジンはコナンの正体が工藤新一であるという証拠を見つけてしまう。
「あのガキの正体が工藤新一だってことはとうに分かってる。毛利探偵事務所の蘭という女。あいつを捕まえればヤツは手も足も出なくなる」
「チェックメイトですね。アニキ」
「ああ、だがその前にねずみを一匹始末してこい」
「へい。まさかあのガキがシェリーだったとは」
「シェリー、これで終わりだ。おまえを守ってくれるナイトはもうどこにもいないからな」

 黒ずくめの組織との最終決戦

 ジンの策略により工藤新一をおびき出すため毛利蘭は拉致されてしまう。
 焦るコナン……。
 一方灰原哀は街でウォッカを見かけ単独で尾行するが逆に捕えられ監禁されてしまう。
 それに気づいたコナンが取った行動は……。

 手錠で繋がれ気を失った灰原を抱き起こすコナン。
「おい、しっかりしろ灰原。今助けてやるからな」
「……ん、……工藤君?なんで……ここにいるの?」
「おめ~を助けにきたに決まってるだろ」
「バカッ。早く蘭さんを助けに行きなさいよ。私なんか後回しでいいのに」
「バーロ。後回しなんか出来るかよ。おめ~は一番大切な仲間なんだ。それに蘭なら新一兄ちゃんが助けに行ってる」
「やめてよ。そんな冗談聞きたくないわ。私が今どんな気持ちでいるか分かる?蘭さんを助ける手掛かりになると思ってウォッカを尾行したのに、逆に捕まって足手まといになって。それなのにあなたは助けに来てくれて……。最高にみじめよ」 
 ぽろぽろと涙を流す灰原。
「バーロー。何度も言わせるんじゃねえよ。オレが一番大切なのは灰原、おめ~だ。それに新一兄ちゃんが蘭を助けに行ったのは本当だ。高校生探偵工藤新一と小学生探偵江戸川コナンは別人でずっと二人一役を演じてたのさ。ヤツらの目を欺くために」
「え?嘘でしょ!?それじゃあ工藤新一は?」
「新一兄ちゃんはずっと姿を隠して黒ずくめの組織を追ってたのさ。普段はロスに潜伏してた」
「……なんだ……そうだったのね。私はてっきりあなたは蘭さんのことがずっと好きだと思っていたわ」
「わりぃな。敵を欺くにはまず味方から。おめ~の気持ちは何となく気づいてたよ」
「それじゃ工藤、いえ江戸川君、あなたは……?」
「ああ、オレもずっとおめ~のことが……」
 そのとき突然室内に設置されたスピーカーから変声器で変えられた声が流れはじめた。
「ふはははは。まさかこの私をここまで騙す探偵が現れるなんてな。ジンに命じて君をずっと観察していたが今の今まで気づかなかったよ」
「この声は、まさか!?」
「ああ、ヤツらのボスだ」
 怯えてコナンに抱きつく灰原。
「安心しろ灰原。ヤツの正体はすでに分かってる」
「ほう。今その部屋は完全に私の監視下にある。君には手も足も出ないはずだがずいぶん余裕があるじゃないか」
「ああ、おまえは正体はすでに分かっているからな。今ごろ服部とジョディ先生がFBIと一緒にロスのおまえの自宅を包囲してるはずだ」
「なるほど。つまり私は袋のねずみという訳か。それでは聞かせてもらおう。私の正体を……」
「黒づくめの組織の名前はナイトバロン。そしてそのボスの正体は工藤新一の父親であり、著名な推理小説家である工藤優作、おまえだ!」


 黒ずくめの組織ナイトバロンとの戦いについに終止符が打たれた。
 ウォッカ、キャンティ、コルンなど組織の主だった幹部は警視庁、FBI、インターポールの3つの組織の協力により続々と逮捕された。
 逃げ足の早い彼らを逮捕できたのは組織に潜入していたバーボン(安室透)、キール(水無玲奈)、そしてキャンティとコルン相手に銃撃戦を繰り広げ、コナンのピンチを救ったFBIのライ(赤井秀一)の活躍が大きい。
 ジンは一人ヘリに乗って高飛びしようとしたが、土壇場になって裏切ったベルモットが携帯式地対空ミサイルを発射、ヘリは爆発炎上し海上へ墜落した。
 ジンの生死は不明である。
 彼女はFBIに司法取引を持ちかけ罪を赦免して貰う代わりFBIの犬になることを誓った。
 そして彼女の口から驚くべきコナンの秘密が明かされる。
 なんと江戸川コナンは、ナイトバロンのボスである工藤優作と愛人ベルモットとの間にできた子供だったのだ。
 つまり工藤新一とは母親の違う兄弟ということになる。
このことは知っているのは工藤新一と江戸川コナンだけである。

 また工藤優作の犯行動機は驚くべきものだった。
 息子工藤新一の成長を促し1人前の探偵にすること。
 そのために巨大な悪の組織を作り息子が挑んでくるのを待ち構えていた。
「自分を越えた探偵によって自分が逮捕されるのも計画のうちだ」そう言ってあざ笑いながら毒薬のカプセルを飲もうとしたがコナンの麻酔銃によって食い止められた。
 そして米花町に平和が訪れた。
 あれほど多発していた事件は激減した。
 コナンは今まで起こった様々な事件も工藤優作が裏で糸を引き、犯人に知恵を授けていたのではないかと疑ったが、真相は不明である。

 放課後、夕日に染まる米花町を蘭と新一が久しぶりに一緒に帰宅していた。
 新一は手を繋ごうとするが照れ臭くて言い出せずにいる。
「 ねえ新一。コナン君どこ行っちゃったんだろうね?急にいなくなっちゃったのよ」
「ああ、あのボウズなら灰原っつう女の子と一緒にアメリカの小学校に転校することになったらしいぜ」
「え?哀ちゃんも。私、お別れも言ってないのに。てかなんであんたがそれ知ってんのよ」
「いや、実はあのボウズオレの弟なんだよ。母親は違うけどよ。でまあずっとオレの調査活動の手助けしてもらってたんだ」
「な~んだ。どうりでおかしいとおもったわ。あの子変な行動ばっかしてたもん。たまに新一そっくりだし」
「あははは。まあ探偵の卵ってやつだからな。(実はオレより賢こかったりして)」
「でも新一の弟ならまた会えるわね。あ~よかった~」
「あいつも男の子だからさ。蘭に泣き顔見せるのが恥ずかしくって黙って行ったのさ」
「え?泣いてたの?コナン君」
「ああ、蘭姉ちゃんとお別れするの寂しいよ~ってポロポロ泣いてたぜ。ま、夏休みには戻ってくるかもな」
「そっか~。泣いてたんだコナン君。また会いたいな」

 東都国際空港

 夕方、空港のロビーのガラス越しに発着する飛行機を悲しげな表情で見つめる灰原。
 その瞳には涙が光っている。
 灰原はFBIのジョディ先生に頼んで承認保護プログラムを申請。経歴をすべて抹消し新たな人間、灰原愛として生きることを決意した。
 そして先生の手配した飛行機に乗ってアメリカに行き、ロスの小学校に転校して新たな人生をスタートさせるつもりだった。
 阿笠博士の家には感謝の気持ちを込めた長い手紙とスマホを置いてきた。


 「黒ずくめの組織、ナイトバロンとの戦いは終わったけど、どこかに彼らの残党が潜んでいるかもしれない。私の正体はシェリーだとバレてるし、これからみんなが安心して暮らせるように、私はここからいなくなるよ。……さようなら工藤くん……。な~んて下らね~こと考えてんだろ」
「え?」
 振り向くとそこにはコナンがいた。
「工藤君?なんでここにいるの!?」
「だ~からオレは工藤新一じゃないって言ってんだろ。そんな顔すんなよ灰原」
「だからなんで?」
「オレもオメおめ~と一緒にアメリカの小学校に転校するよ。そしてナイトバロンの残党が潜んでねえかどうか調べて安全が確認されたら元の姿に戻るつもりだ」
「そう。でも蘭さんはいいの?守ってあげなくて」
「ああ、ナイトバロンを倒した今、ずっと姿を隠していた新一兄ちゃんも普通の高校生に戻って堂々と蘭と付き合ってるしな。何か事件があっても新一兄ちゃんに任せとけば大丈夫さ」
「それじゃあなたは?」
「しばらくおめ~とロスで暮らそうと思ってさ。逮捕された工藤優作の邸宅をそのまま使っていいって新一兄ちゃんに言われてるし」
「へえ、随分のんきなのね。人の気も知らないで。それにその計画には私も入ってるのね」
「ああ、ほとぼりが冷めたらそこで江戸川探偵事務所でも開こうと思ってる。灰原、そのときオレの相棒になってくれねえか?」
「……ええ、いいわよ。地獄の底までついてくわ。でもそれってプロポーズってことでいいのよね?」
「バ、バーロー!そんなんじゃ……」赤くなるコナン。
「あら違うの?」
「ち、違うっつうかなんつ~か……」
「珍しく歯切れが悪いのね。じゃ質問を変えるわ。私にはずっと解けない謎があるの。江戸川君、あなたは誰が好きなの?」
 コナンは右手でピストルを作ると灰原に向けた。
「ったくしゃあねえな~。オレが好きなのはお……!?」
コナンがすべてを言い終わる前に、その唇を灰原の唇が塞いだ。

(これでおあいこね、江戸川君)
(ああ、おめ~はオレがずっと守ってやっからよ)


※名探偵コナンのパロディです。



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