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超常現象研究倶楽部 百物語

高校2年の夏僕と守が創った超常現象研究倶楽部も2年目となりたまには本格的な活動もしようということで夏休みを利用して合宿することになった。
歴史研究という名目で昼間は史跡を巡ったり図書館で資料を漁ったりしたがそれは仮の活動。
僕らの本来の目的はその夜旅館で行われる百物語の会である。
僕と守、裕美、由紀恵、麗奈の5人。それに顧問の前川先生入れて6人ではとても百話なんて難しいけれどやってみる価値はある。なにせ超研なのだから。
さすがに百本のろうそくは消防法に引っ掛かるので一本にして部屋に二ヵ所赤外線カメラと普通のカメラを設置し万が一人ならざる者が現れた場合ちゃんと証拠に撮っておこうと極めて科学的な態度で望むことにする。
さて夕飯を済ませ時は19時半。一番広い桔梗の間に全員集合。
誰も口火を切ろうとしないので言い出しっぺの僕が言おうと思ったら先に守が口を開いた。
「エヘン。僭越ながらこの高橋守が先陣を切らせてもらいます。と言っても私話はド素人。某怪談師みたいな緩急自在山あり谷ありの話術を期待してもらっちゃ困りますぜ」
「誰も期待なんかしてねえよ」と前川先生。
「では始めます。知っての通りうちの母は看護士として働いてます。母が休みの日の夜中の1時頃玄関のチャイムが鳴ったんですよ。悪戯かと思ったんですけど次の日親しくしていた患者さんが亡くなったと電話がありましてね。きっと挨拶に来たんだねって言ってました」
ろうそくが少し揺れたようだった。
「では次は僕大山が。昔ある旅番組を見てました。パリの繁華街だとおもいます。カフェテラスの白いテーブルがずらり並んでいる大通り。そこに一瞬映ったんです。ズボンを履いた下半身だけが歩いているのを」
じゃ次は私と麗奈
「この前うちのおばあさんが亡くなったんだけどね。仏間でお坊さんにお経を唱えてもらってるときふと上を見たの。するとね、前に亡くなってたおじいさんの遺影から涙が流れてた」


【続く】



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