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旬杯リレー小説転Bの続き


難しい国語の問題も飽きてソーダ水を飲んだ。
「ソーダ海へ行こう!」
家はまだクーラーがなくて暑いし、海は風が吹いて涼しいかもしれない。
それに国語の夏休みの課題の俳句も夏がテーマなので海を見れば思い付くかとおもった。
外へ出ると町内放送が流れている。
「現在、高温警報が発令されました。こまめな水分補給、定期的な舌出し運動によって熱中症予防に務めましょう。」
舌出し運動をすると熱中症予防になるらしい。
舌を出してみた。なるほどいくらかスースーするようだ。
僕は自転車に乗ると舌を出しながら海へ続く坂道を下った。
途中買い物帰りのおばさんにお辞儀をしたが、僕もおばさんも舌を出しながら黙礼。
なんともシュールな光景だ。
この舌出し運動は環境省がクールビズに続く施策として今年から導入が決まったものだ。
まあどうでもいいけど。


やはり海辺は風が吹いて涼しかった。
僕は海を眺めながら一生懸命俳句を考えたのだか一向に浮かんでこない。
15分ぐらい考えてやっとひとつ浮かんだけれどとても俳句と言えるような代物じゃなさそうだ。

  スマホ見て俳句投稿雪女

これじゃ川柳かな?暑いから涼を求めて雪女と入れてみたけど冬の季語だし。

note見て俳句投稿山男

はたして山男は夏の季語か?もんもんと考えているうちにどこからか女の人の歌声がギターの弾き語りで聴こえたきた。
あいみょんのマリーゴールドっぽいリズムで。

風が吹き抜け、太陽が肌にじりじりと照り付ける。
今年は猛暑になるらしい。
海に行きたいと思った。
輝く海と、その水平線に浮かぶ白く大きな入道雲。
夏がやってくる。
生涯忘れることのない夏が。

段々暗くなっていく海へ向かって語りかけるようなそのハスキーな歌声は僕の胸にとても響いた。
「そこの少年!」
「は、はい。」
「あたしの歌ずっと聴いていたの?」
「はい。」
「どうだった?」
「はい、とても…ふふっ。」
そのとき急に昼間の舌出し運動のことが頭をよぎり吹き出してしまったのだ。
「笑ったね!あたしの本気を笑ったね!!」
どうやら怒らせてしまったらしい。
僕は必死になって事情を説明した。






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