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ネコミミ村まつりfeat.ミュージックステーション


 ネコミミ村まつりの野外ステージでは、特大のスクリーンにテレビ画面が映し出されていた。ネコミミを付けた村人たちと観光客が集まり、固唾を飲んでスクリーンを見つめている。
 最前列の椅子には見据茶(みすてぃ)先生、にゃんくしーさん、Dr.コトー(諏訪満男)、まくらさん、村役場の泉総務課長と娘の心さん、あかうま地域振興課長などが陣取っている。
 見据茶先生はやや緊張した面持ちで、膝の上で拳を握り締めている。今夜見据茶先生の教え子がテレビに出るらしい。
「にゃ~お。ついにこの日か来たにゃ~」とにゃんくしーさん。
「ええ、まさかホンマにMステ出るなんて、夢のようですわ」と見据先生。
「ニャースの声優は犬山犬子にゃ」
「知らんがな!」
「厚木基地は厚木市にないにゃ」
「なんのはなし?」
(私に取り憑いている化け猫が、勝手に言ってるだけなんですけど😭それに本当はMステより、家でゴロゴロしながらアマプラでスラムダンク観たかったんですぅ~😭😭)
「会場に来れなかった人は、僕のBARでパブリックビューイングをやってます」とこれはまくらさん。
「へえ、それはいいですね。僕はこの放送のためにBlu-rayレコーダーを買って、録画予約してきました」とDr.コトー。
「俺の書いた歌詞が、テロップで流れるんだろうな~」と泉課長。
「へえ、やるじゃん父さん」と心さん。
「私とみっちりトークの練習したから大丈夫だと思う」とあかうま課長。
 やがて長いCMが終わると、賑やかなオープニング曲と共にその番組は始まった。

「こんばんは。モリタです」
「こんばんは。田中綾香です。今夜はスペシャルゲストをお迎えしました。今、日本のどこかにある幻の村、note村で開催されているネコミミ村まつりで配信され、ストリーミング再生回数が1億回を突破した楽曲『夏のたからもの』を歌って貰う、詠音(よみね)サクさんと重音(かさね)テトさんのお二人です」
 登場曲に合わせて雛壇を降りて、モリタの隣に並ぶ二人。
「こんばんは。詠音サクです」
「こんばんは。重音テトです」
「お二人はMステ初登場ですね。どうです?出てみた感想は」     とサングラスを掛けたモリタ。
「はい。とても緊張してます。でもずっとMステに出るのが夢だったので今、とても幸せです。心を込めて歌いたいと思います。見据茶先生観てる~!私、ほんとにMステ出たよ~!能登の電車でお世話になった寅さ~ん。観てますか~!イエ~イ」
 カメラに向かってピースするサクとテト。
「ははは。今、note村ではネコミミ村まつりが開催されてるそうですね」とモリタ。
「はい。様々なクリエイターが自由に楽曲を発表したり、作詞したり歌ったりする大掛かりなイベントです」
「今夜1曲目に披露していただく『夏のたからもの』は、配信から僅か1ヶ月で、総再生回数が1億回を突破したそうですね」と田中。
「はい、おかげさまで。村役場に務める泉総務課長が作詞して見据茶先生が作曲してくれました。見据茶先生は村立能戸高校の教師をしていて、私の恩師でもあります。この先生とにゃんくしーさんが中心となってネコミミ村まつりが始まりました」
「それは面白そうですね。私もネコミミ村まつり、見に行こうかな」とモリタ。
「ええ。ぜひ来て下さい。私がご案内します。そうだ、今度ブラモリタで特集して下さいね。見据茶先生、ブラモリタが大好きなんです」
「ははは。サクちゃん、あれは局が違うんだよ」
「あ、いっけな~い、私ったら。あとで今のセリフ、カットしてくださ~い」
「いや~生放送なんだよね。これ」
 笑いに包まれるスタジオ。
「ありゃりゃ。そうでした」
 舌を出して自分の頭をコツンと叩くサク。
「気を取り直してモリタさん。ひとつお願いがあるんですが?」
「はい、何でしょう?」
「実は村のみんなに頼まれたんですが、今日、村から大量のネコミミを持ってきたんです。もしよろしければ、モリタさんやゲストのみなさんにも付けて貰えないでしょうか?私達も付けますので……」
 そう言ってネコミミを付けるサクとテト。
「へえ、可愛いですね。いいですよ。ではみんなで付けてみましょうか」とノリノリのモリタ。
 スタッフが後ろに座るアーティストたちに、次々とネコミミを配る。ネコミミを付けたみんなの顔を順番に移すカメラマン。
 モリタもネコミミを付けると、スタジオは笑いに包まれた。
「Readyニャニャさん、付けてみてどうですか?」モリタの隣に座るのはアメリカのシンガーソングライターReadyニャニャである。通訳がモリタの言葉を翻訳する。
「Iits berry berry cute!」そう言って彼女はニッコリ笑った。
「○×△☆♯♭●□▲★※」
 通訳が彼女の言葉を訳す。
「……とてもとても可愛らしいです。ぜひアメリカでもネコミミ文化を流行らせてみたいと思います」
「そうですか。それは楽しみですね。……あいみょんはどう?ネコミミを付けた感想は」
 モリタの後ろに座るあいみょんは、ネコミミを付けて楽しそうだ。
「いや~ホンマに可愛いわ~。あたしもこれ付けて歌おうかな~。てかモタさん、むっちゃ似合ってますやん」
 ネコミミを付けたモリタをアップで映すカメラマン。
 モリタが舌を出して自分の頭をコツンと叩くとみんなは大爆笑した。
「あの、すいませんがお時間なので歌のご準備を……では詠音サクwith重音テトで『夏のたからもの』どぞ」

※これはフィクションであり、ミュージックステーションのパロディです。実在の人物団体とは一切関係ありません。


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