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西安清真大寺(モスク)

はじめに

西安ではお寺めぐりをしてみました。
歴史的には唐の時代にまでたどることができるお寺もいくつかあるのですが、建物はだいたいが近代になって立て直されたもので、日本の古いお寺のような渋さが感じられませんでした。
そのような西安のお寺の中にあって、渋い雰囲気が残されているお寺がありました。西安清真大寺です。寺とありますが、モスクです。
西安清真大寺は唐の時代に創建されました。現在残されている建物は明の時代のものとされています。日本の鎌倉時代に当たります。

なぜ西安にモスク?

唐の長安は交易の中心で、諸国から人や物が集まってきていました。その様子は絵画として残されていて、陝西省歴史博物館に行くと見られます。なかなか賑やかそうです。

客使図。陝西省歴史博物館ウェブサイトより https://www.sxhm.com/collections/detail/468.html

そういう風に集まる人たちによってさまざまな宗教もやって来たのですが、イスラム教もその一つでした。
西安に住んでいるムスリムの方たちは、その時代からイスラム教を受け継いでいるのでしょう。地元に根付いているからか、旧市街にはモスクがいくつもありました。どれも渋い雰囲気が残されています。

場所

旧市街の回民街の中にあります。大通りに面しているわけでもなく、路地を抜けきったところに入口が現れます。

ほんとうにこの先にモスクがあるんですか?

敷地

モスク境内の地図。細長い。

境内は東西に細長い敷地にあります。敷地を長い方向に使っています。東側にある入口から順々に建物が並んでいて、一番奥にメインの建物となる礼拝堂があります。
敷地が細長いのは地図を見て分かっていたのですが、どう敷地を使っているのかに興味がありました。トルコやアラブにあるモスクは、たいていが正方形な敷地に立っています。メインの建物も正方形で、その脇にミナレットなどがシンメトリックに配置されています。東京の代々木上原にあるモスクもそういう形ですね。
ところが、このモスクは東西に細長い敷地を長い方向に使っています。そして建物が左右対称になるように配置されています。西安のほかの(仏教の)歴史あるお寺にも、同じように細長い敷地に建物をシンメトリックに置いているところがいくつかありました。詳しいことは分からないのですが、歴史的な背景があるのかもしれません。そういえば日本のお寺も昔は長い敷地にシンメトリックに建物を配置していたそうです。

境内

正門

門。左右の柱にあるのはアラビア文字を漢字風にアレンジしたもの。

入口を入って右奥に境内が広がっているのですが、境内に向かう前に逆の左側に行くと正門があります。縦に長い薄い構造の建物で、門というより鳥居のようです。門の向こうには塀になっています。

ミナレット

どの国のモスクでも、モスクの脇にはミナレットが建っています。お祈りの時間になるとここからアザーンが流されます。建てられた時代や場所が変わってもこれは同じで、モスクがある所にはミナレットがあります。ただスタイルは様々なようで、アラビアの土色のすらっとしたものから、トルコの白い鉛筆のようなものなど、縦長の塔という共通点を除くと様々な形式があるようです。
西安のモスクのミナレットは、おもいっきり地元になじんでおり、中華風庭園にあるあずまやのような建物です。シンメトリックな構成とか反り返った屋根など、美しい建物です。境内のちょうど真ん中にあたる場所に建っています。

ミナレット(省心楼)

中庭

境内を3つに区切り、それぞれがお庭になっています。お寺などと同様、古い石碑も残されています(アラビア文字で書かれていたりもします)。モスクなので、庭の脇には足を洗ったりすることができる建物もあります(中には入れません)。

礼拝堂

境内のいちばん奥にあたる場所には、メインの建物となる礼拝堂があります。瓦屋根で、入口に掲げられた漢字の額縁とか、道教の寺院にあるスタイルそのままです。イスラム教が伝来して数百年のうちに地元になじみ、このような形になったのでしょう。
いまも現役で活躍しています。礼拝の時間になると地元のおじさんたちが集まってきて建物に入っていきます。アザーンも流されますが、どこか中華風でした。

時間になるとおじさんたちがわらわら集まってきます。

おわりに - 大学巷清真寺

このモスクの西側に、やや小ぶりなモスクがあります(大学巷清真寺)。やはり唐の時代に創建され、明の時代の建物が残されています。こちらも古色蒼然とした雰囲気がなかなかよかったです。

大学巷清真寺。モスクなので屋根にお月さまがのっている。


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