(3)中国民主化の始まり――孫文・辛亥革命
・・・とご紹介した。孫文から蒋介石へとつながれ、結果として毛沢東の中国共産党に敗れ台湾に敗走することになった中国国民党・中華民国は、中国では、あまり高くは評価されてはいないのではないかと漠然と考えていたが、中華人民共和国憲法の前文を読んでびっくりした。
辛亥革命については、中国でも高く評価されており、中華人民共和国憲法の前文でも以下のように紹介されているのだ。新たな発見であった。これも虹雲猫さんの『岡田英弘著作集Ⅳ』を読んだ結果。こういう本に出合えるというのはネットの功徳だ。感謝。
孫文は、日本滞在中、横浜中華街にも出入りし、中華街の料理店経営者たちにも支援を受けて滞在していたといい、そうしたお話を中華街の関係者からも伺ったことがある。辛亥革命、中華民国建国に、日本が深く関与していたというのは一つの歴史でもあるが、そうしたことが母国ではあまり顧みられていないことも残念な気がする。中国・韓国については、反日意識が強く、極力そうしたことを隠したいと思っているのかもしれない。それは中国にとって「正確な歴史」ということになるのだろうか。
中国人にとっての「正確な歴史」という言葉には注釈が必要だ。
■中国人にとっての「正確な歴史」とは
一般に日本人にとって、「歴史」といえば、
・毎日、毎月、毎年に起きた事件の詳しい年表のようなもの、
・いつ、なにが起こったという事実の積み上げ
と教えられてきた。
そこに記述する人間や、読む人間の「思い」や「注釈」を入れず、あったことをありのまま客観的に記述し、理解すること、というのが日本人にとっては学校で教えられた歴史の理解の方法である。
ところが、中国人にとって「正確な歴史」はそうではない、というのが岡田である。これは新しい発見だった。
司馬遷による「史記」から始まって、中国の歴史書はすべてそれが基本となって記述されているという。なるほどと言われれば深く納得する。そして、その理解を他国にも要求するのが中国の正義らしい。自分勝手というか、困ったものだ。
《シナ(チャイナ)文化の特異性》(岡田英弘著作集Ⅳより)
(1)中国:民族の成立とシナの歴史
(2)第4のシナ:日本化の時代-中華民国以降—日本の影響
(3)中国民主化の始まり――孫文・辛亥革命
(4)中国人は人を信用しない。
(5)中国には外交政策・世界政策がない
(6)漢人にとって「公」とは、私腹を肥やす手段
(7)現代中国語に革命をもたらした日本語
(8)日清戦争――日・シナ関係の歴史的大逆転
(9)シナ/中国における支配者のカリスマ性と正義
●おまけ「中国にもない漢字・漢文の大系が日本で出版されているわけ」
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