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ものづくり 日本のこころ

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技術力というととかく新しい技術や商品の開発に目が向けられますが、製造業を支える基本は、ものづくりの精度、加工技術の開発力です。日本が誇る高い品質の生産技術力は日本にしかない、世界…
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#江戸時代

069.武士道は損得勘定を取らない

新田が開発され尽くされてしまうと、やがて税収は頭打ちになってきます。しかし、いったんバブ…

梶文彦
1年前
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070.能力主義の萌芽……下級武士の登用・足高制

財政に関心を持たない勘定奉行の下で財務処理を行うのは計算に長けた家格のずっと低い下級武士…

梶文彦
1年前

040.算術に見る日本的合理主義

こうした日本的な非合理/遊びを含めた論理的?な思考を説明するときに私がよく使う一つの例と…

梶文彦
1年前
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057.関心は名産品より“つくり方?”

北太平洋に南北に延びる日本列島は、地域ごとに気温差があり、3か月ごとに季節が変わるため、…

梶文彦
1年前
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058.新田開発と農具の改良で元禄バブルへ――千歯こきの誕生

ものづくりという面で、長い間日本人の最大の関心事は米の生産でした。 税金、年貢が米で納め…

梶文彦
1年前
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059.現場の実践的な改良でコメの収量を拡大

この千歯こきの話から、伊勢講、お伊勢詣りが古くから庶民の楽しみとして行われただけでなく、…

梶文彦
1年前
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060.不定時法に合わせて自動化――和時計の工夫

江戸時代を通じて、農業においても道具や装置は大きく工夫・改善されてきましたが、日本人の機械的な工夫という点でよく語られるのは、からくり人形と和時計づくりの技術です。 とくに和時計は、不定時法というややこしい仕組みの中で工夫された、世界にもまれな道具です。こんな時計を生み出す国、こんな面倒な工夫を実際にやってのける国民は、世界でも希少価値、日本人くらいでしょう。このことだけでも、ものづくりにおける日本人の特殊性が分かるような気がします。 前章の延喜式の項でもご紹介しましたが、不

062.江戸版自動機を生んだ二丁テンプの考案

それに対して日本では、相変わらず、日の出と日没を境にして、1日を12にわけ、昼/夜のそれ…

梶文彦
1年前
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066.勤勉革命

日本人を語るうえで、勤勉、あるいはまじめ、というのはいまでも欠かせない要素になっています…

梶文彦
1年前
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067.元禄バブルが生むこだわりの工芸職人

自然を相手にした農業は、栽培する品目が決まれば自動的にやるべき作業が決まり、しかも手掛け…

梶文彦
1年前
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073.きえもんが要求した難破船救出の報酬

あるとき、オランダ人がアメリカの船を雇って、出島から銅および樟脳を積んで出帆しました。そ…

梶文彦
1年前
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080. 独創を拒む「新規製造物禁止令」

江戸時代には、こうした禁令がたくさん出されています。ぜいたく禁止令などもいくどか出され、…

梶文彦
1年前
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084. 近代化を可能にした読み書きの土壌

 独創性に欠けると言われながら、日本は経済大国と呼ばれるようになり、科学技術の面でも、ノ…

梶文彦
1年前
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086. 庶民の学習意欲は日本の伝統文化

開国か攘夷かで風雲急な幕末の日本人の意識レベル、いまでいうリベラルアーツのレベルはどのような状況だったのでしょうか? 江戸末期~明治維新の日本人の識字率は、世界的にも高い方だったというのは、世界の学者の共通認識です。当時、高い教育が施されていたといわれていたアメリカなどでも、そうした教育が行われていたのはごく一部の人たちで、決して全体のレベルが高かったわけではありません。 一説に1850年ころの識字率は、 ・ロンドン市民が20パーセント程度、 ・パリ市民で数パーセント、 と言