見出し画像

ブックオフのこと

全国のブックオフで棚卸しによる臨時休業が相次いでいる。事の発端は北海道のハードオフで、不正経理が発覚したことによるようだ。北海道のブックオフなどを運営するエコノスの調査報告書によると、今年4月の内部監査で、買い取ったはずの商品が見当たらないなど、在庫の不備があったという。

具体的には架空の商品を買い取ったことにして、買取相当額の現金を不正に取得する架空買取、さらに陳列中の商品や買取後にカウンターやバックヤードに一時保管している商品を無断で持ち去る内引き。

それだけでは棚卸し時に発覚するものだが、事前に架空商品のバーコードを印刷・所持し、棚卸時にこれを読み込ませることで、商品が店舗内に実在するかのように偽装していたという。さらに内引きも、内引き時に当該商品の値札も持ち去り、棚卸時にその値札に付されたバーコードを読み込むことで、商品が店舗内に実在するかのように偽装していたとみている。従業員が手薄になる時間帯を狙っていたようだ。

一連の行為の当事者とされるのは、A店の店長で2022年より現在の店舗で店長を務めていたが、それ以前の別の店でも不正行為をしていたとみられ、少なくとも3年にわたって行われていた。その総額は架空買取が1665万円、内引きが1561万円の合計3226万円余りである。

店長は5月9日に、疑惑についてヒヤリングを受けている途中で失踪し、現在も行方が分からない。

この報告書では、ハードオフ、オフハウス、ホビーオフと異なりブックオフは商品の単価も安く、不正行為を行う動機が弱い、本部から価格変更等の指示がありその時点で不正が判明すること、棚卸の実施者と計数管理者を峻別するなどルールが厳格化されているなどから、臨時棚卸の対象から外したという。

そのため今回のブックオフの休業と直接影響があるかはわからないとはいえ、おそらくそれ以外違いないはず。一斉に行うあたり大規模な不正がみられたのかもしれない。

調査報告書をまとめた特別調査委員会は、買い取り時などのチェック体制や管理体制の甘さを指摘している。

個人的にはブックオフなどはかつてはたびたびいったものの、近年は商品の品ぞろえが薄く遠のいた。何か店の雰囲気もかつてと比べ悪くなったように思っていた。転売の横行などで商品の価値について以前より厳格にチェックするようになったともいうが、 相変わらず値付けが適当なこともあり怪しんでいた。ブックオフは全国の古本屋を潰し、ブックオフ自体も没落したともいわれるが、近年はゲームやトレカなども主力になっているようだ。

ブックオフ創業者はそもそも古書組合の談合のような価格選定に疑問を抱き、家庭の読み終えた本がそのまま店舗になるコンセプトでブックオフを開業したようだ。

これまでの古書店と異なり内容的な選別をしないため、古書の概念から見ると意外な商品が店頭に並ぶといったこともある。その地域の地域性によって店の個性が変わるという特徴が生まれた。
読み終わった本をお売りくださいのキャッチコピー通りに手軽に買って、手軽に売れる古本店として急成長したが、内容に気を配らず単なる消費財と位置付けるスタイルは、読み終わった本をお売りくださいから捨ててくださいに変貌したようにも感じていた。実際棚卸しによる選別か、在庫の廃棄も多くなっていたようだ。無料の資源回収といった評まで出ていた。

今回の問題は古物商業界全体にも影響が出るかもしれない。ブックオフの今後もどうなるのか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?