口先だけで愛を請い
報酬は払うから一つ頼まれてはくれないか?
そう三つ年上からの友人からメッセージが来た時、桜沢雫は珍しいこともあるものだと首を傾げた。
なんですか?
そう返事を返せば即座に電話がかかってきた。時刻は零時を少し過ぎたところである。ますます珍しい、と欠伸をかみ殺して電話に出る。風呂上がりの湿った黒髪が耳にかかって少し煩わしかったのを覚えている。
昨夜は徹夜をして、昼前に友人である讃岐ーー年齢不詳性別不詳ついでに人かどうかも不詳な自称うどんの妖精ーーにたたき起こされて神社巡りをしたの