女は男を立てるべき?
私は玄関を開ければ一面田んぼが広がる田舎に生まれ育った。
幼い私は性別関係なく人間は平等だと思っていて、女の子だけ家事を命ぜられることにいつも反発していた。
ある日、私は父に将棋を教えてもらった。そして、練習と称して父と生まれて初めての将棋をした時に父に勝ってしまったのだ。そして、「女なのに可愛げがない」「男の人を鼻を折るなんて、はしたない」と言われた。父も母もプライドが命の人だった。それからも同じようなことが起こり続け、私は男性と目上の方のプライドは何が何でも守らなければいけないのだ、と学んだ。
けれども、私の性分はそんな慎ましやかなものではない。私の中には「私はできる子だ!」と叫びたい自分と人のプライドを守り続ける自分が混在していた。カオスだ。
そんな私は恋愛ではダメンズメーカーだった。そりゃそうだ。ずっと相手の男性をヨイショして、常に自分を低く見せる努力をしていたのだから。そりゃダメンズを引き寄せるし、よりダメンズにしていく。
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私はよく同じ夢を見た。
自分が何を言っても相手に聞こえない。どんなに叫んでも誰も聞こえていない。泣きながら、ずっと誰かに自分の声を聞いてもらいたくて「違う、私はそうじゃない」って叫んでる夢。
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そして、今の彼に出会った。私はいつものように彼をヨイショばかりしていた(その時の私は合コンの「さしすせそ」を息を吸うように使っていた)。そしてある日、彼に言われたのだ。
「僕を裸の王様にしないで」
衝撃だった。
彼はそれが一番心地よいのだと、信じて疑ってなかったから。そして、私は今までいろいろな人に残酷なことをしていたのだと、気づいた。今まで近くにいた人達を裸の王様にしていたのだ。
そして、彼はこう続けた。
「僕は君を馬鹿だと思ったことはない。寧ろ、頭が良くてパワフルで、だけど人のことを思いやれる優しい人だと思ってる。」
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私はその日から誰にも聞いてもらえない叫びを叫び続ける悪夢を見なくなった。
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