ちょっと感動したこと

今日、久々に大阪城でランニングをしてきました。
長年大阪に住んでいて、数年前まではたまに大阪城でランニングをしていたのですが、ここ数年は仕事などで忙しくほとんど行けてませんでした。
最近になってようやく時間と気力ができたので、思い立って行ってきました。

当初、三周しようと思ってたんですが、あまりにブランクが長かったからか、走り始めて五分ほどで想定以上に疲労してしまい、急遽目標を二周に変更。ヘトヘトになりながらも、なんとか二周走り切りました。

以前走っていたころより体重が増えたし、年齢の影響か持久力も落ちたしで、想像以上に疲れましたが、走った後の爽快感は以前と変わりませんでした。
そして今日は幸運にも、大阪城周辺の桜がほぼ満開となっており、桜並木を楽しみながら走れたのも気持ちよかったです。
今日は気持ちよく晴れたのですが、天気予報では明日は雨の予報だったので、明日は走れないかもしれないし、その後は雨で桜が散ってしまってるかもしれないので、本当に今日行って良かった。

日曜日・晴天・桜満開とあって、大阪城公園はどこもお花見客ですごい混雑。
人を避けながら走らなきゃいけなかったのが少し煩わしかったですが、こんな人ごみの中をランニングする機会もそうないと思うので、貴重な経験でしたし、瞬発力が鍛えられた気がします(笑)

お花見を楽しんでいる人々を見て、ふと思ったのですが、外国人観光客がものすごく多かったんですね。
欧米人は見た目で分かるので、体感的にかなり多いと感じたのですが、韓国語や中国語も聞こえてきたので、アジアからの観光客も相当いたと思います。

僕は生まれも育ちも関西なのですが、こうやって外国の方が大阪に来てくれて、大阪の良いところを満喫してくれるのは、すごくうれしく感じるんですよね。
最近は大分ましになったとは言え、こと日本のメディアでは、大阪の悪いところがフォーカスされがちで、「観光」という視点でも「道頓堀」や「新世界」、「お笑い」など、特定の地域ばかりが取り上げられて、大阪に対するイメージがかなり偏っているなと感じることが以前からありました。
もちろん道頓堀も新世界もお笑いも、大阪の大きな魅力の一つですが、それが全てではないですよね。
梅田のような、東京のターミナル繁華街に似た雰囲気の街もあれば、中之島や本町などの洗練された都会の風景もあります。
メディアの影響もあって、国内では大阪はネガティブなイメージを持たれがちですが、外国の方はそのような偏見なしに大阪のことを見てくれて、その上で大阪に魅力を感じてくれるのは、本当にありがたいですし、嬉しいです。
大阪が世界屈指の人気観光地になる。
一昔前、いや結構最近(十数年前)まで考えられなかったことなので、隔世の感があります。

そんなこんなで、大阪の魅力が正当に評価され、いわゆる「インバウンド」で外国人観光客が大勢訪問しているという状況は知っていたので、大阪城に外国人観光客が大挙してやってきていることは、特に驚きませんでした。
が、一つ気になったことがあったんです。
それは、「道にゴミが散乱していない」ことです。

大阪城公園内では多くの露店が出店していて、多くの人が食べ歩きをしたり、公園内にシートを広げて、購入した食べ物を食べていました。
当然、食べ物の容器や箸などがゴミとして出るはずです。
しかも尋常ではない人出です。

が、ほとんどゴミが落ちてないんです。
全くというわけではなく、時折道の端の方に無造作に置かれた食べ物のガラなどが目に入ってきました。
ただそれも本当に数えるくらい。
少なくとも、ランニング中にゴミをよけるために進路を変えたという記憶はありません。

大阪城のランニングコースは、一周約3.5kmあります。
そのほとんどに花見客が歩いていて、人が多すぎて走って通り過ぎることが出来ず、ゆっくり歩いて通過しなければいけない所も何か所かあったほどです。
これだけの混雑で、これだけの人が飲食をしていて、道にゴミがほとんどないって、冷静に考えたらすごいことじゃないですか?

日本人は、国内でも海外でもゴミをポイ捨てしないことで有名です。
がしかし、外国人は違います。
少し前は、日本に来る中国人観光客のマナーの悪さが問題視されていた時期もありました。
もちろん中国人でも人によると思います。
最近は中国の方のマナーもとても向上していると感じる場面も多いです。
そもそも観光客に占める中国人の割合が圧倒的に多いので、ほんの一部の人がマナー違反をしていたとしても、絶対数的に目立ってしまう、というのもあると思います。

個人的にこんな経験がありました。
少し前に、たまたま入ったカフェで母親と幼い娘らしき二人が僕の近くの席に座ったんです。
二人は日本語で話していたんですが、お母さんは話し方からネイティブでないことが分かりました。
発音の感じから、恐らく中国の方だったと思います。
その二人が、とてもうるさかったんですね。
娘さんの方は、大声で叫んだり、テーブルをガンガンたたいたりを数十分繰り返していたんですが、お母さんは全く注意せず、娘さんと同じノリで楽しんでいる。
しばらく様子を見ていたんですが、ちょっと度を越してると思ったので、僕からお母さんに注意したんです。結構強い口調で言ってしまったと思います。
「うるさいよ。子供をちゃんとしつけしろよ。自分たちだけの空間じゃないだろ」と。
言い方についてはちょっと反省の余地がありますね…。
でも、他にもお客さんがいたので、誰かが言った方が良いかなと思って、勝手に正義感を発動して言ってしまったんです。
お母さんの方は少し驚いた感じで、「あ…すみません。すみません。」と言っていたので、悪気はなかったんだと思います。
多分、文化の違いなんだと思います。

やっぱり、中にはこういう人もいると思うんですよ。
個人的な体験から、中国人の例を挙げました(そもそも中国の方じゃなかった可能性もありますが)が、中国人だけじゃないと思います。
弁明に聞こえるかもしれませんが、最近の中国人のマナー(少なくとも日本に観光に来ている方々のマナー)は、明らかに向上していると感じます。
経済発展に伴い、マナーや個人の振る舞いに意識を向ける余裕が出来たり、海外旅行に行く経験が増えたりして、そのようなことを体得する機会が増えた結果だと思います。
中国に特有のことではなく、全ての国が通る道なんだと思います。
きっと、インドがもっと経済成長して、インド人観光客が街にあふれるようになったら、きっと僕たちはインド人に対して同じことを思うのでしょう。
日本人もこんなにマナーが良くなったのはごく最近のことみたいです。
全然他人事じゃないですよね。

中国人は絶対数が多いから目立ちますが、欧米人にも、文化の違いだったり、悪意があったりで、マナーの悪さを感じることがあります。
以前フランスに行ったとき、あまりの道の汚さに、キャリーバッグを引くのに抵抗を感じたこともありますし、欧米人の方で、アジアに旅行に来てるのに、明らかにアジア人を見下しているような、偉そうで尊大な態度をとる人もいまだにいます。

日本人でも色んな考え方や態度の人がいるのに、ましてや言葉も文化も、育ってきた環境も違う外国人となると、価値観の違いや、常識の違いから、衝突が起きても不思議でないし、多くの外国人が一堂に会すと、カオスになるのが自然だと思うんです。
そういうことを考えると、大阪城公園の道はゴミであふれているはず…だったんです。
無意識的に、自分の中でそういう想定が出来上がってました。
誰が悪い、ではなく、自然とそうなるだろうと。
だから、最初に走りながら違和感を感じた時、自分が何に違和感を感じているのか、分わかりませんでした。
でもしばらく走っているうちに、「あれ、ゴミ、少なくない?」と、ハッと気が付いたんです。

そして、道に向けていた視線を上げて、目の前の光景を見た時に、みんな、肌の色や言葉や年齢や誰と来ているかに関わらず、みんな見事に調和を保って、ゴミを捨てることなく、場所の取り合いをすることなく、大声で歌ったりして騒音を立てることなく、でも、頑張ってルールを守っている感じでもなく、本当に自然に、調和を保って、その場での時間を楽しんでいたんですね。

その瞬間、何ていうか、上手く言葉に出来ない感動を覚えました。
これが「平和」なのかも知れない。
大げさかもしれないですが、そう思ったんです。

何がそうさせているのかは分かりませんでした。
桜の美しさがそうさせていたのかもしれないですし、
日本でのマナーの守り方を、みんなが予習してきていたのかもしれない。
そもそも、お行儀の良さが日本人の専売特許ではなかったのかもしれません。

何が原因なのか分からないし、明日もそうなるのかも分かりません。
でも少なくとも、あの時間、あの場所で、とても居心地の良い空間が出来上がっていた。
あの場所にいるみんなが、一緒に作り上げていた。
どこの誰かも知らない人なのに、言葉を交わしたこともないのに。

僕は今日、ここに来てよかった。
心からそう思える光景でした。

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