木村晴美「ろう者の世界」生活書院

筆者はコーダ(CODA=ろう者の両親のもとに生まれた人)である。
こういう世界からの言語考察は初体験だった。ろう者とは「手話を第一言語として話す人」である・手話には国境も年代差も待遇表現もある・日本語を話しながらの手話はろう者には分かりにくい・手話では相手の表情が重要である・秋篠宮妃紀子様の手話がろう者の励みになっているといった手話に関するメッセージにとどまらず、コミュニケーション全体にも言及している。
人の顔を見れない人はコミュニケーションストラテジーが弱い(日本人に多い)。ろう者は「目でみる文化」である。コーダは「移民の子」と同じという表現にははっとさせられた。今、新宿日本語学校の江副先生が都立大塚聾学校でコーダに対する日本語教育に取り組んでおられることはやはり先見性のある試みだ。同業者として敬意を表したい。

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