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田村和紀夫「音楽とは何か」講談社選書メチェ

古代の音楽は神がかり的なパフォーマンスであり、呪術としての音楽は音楽と詩と舞踊であった。

例えばストーンヘンジは古代社会に権力を現前させるための建造物だったのであり、その延長線上に古代ギリシャの音楽がある。

ピタゴラスの調和説は古代メソポタミアの音楽観の継承なのであり、ハーモニーの語源、ハルモニアは古代ギリシアの女神で破壊の神と愛と美の神の子である。

現代に視点を移すとビートルズは機械化した過剰な資本主義社会に鉄槌をくだした。音楽は歴史に活力をあたえてきた。音楽はシンパシーのための道具でもある。 

具体的な音楽の話も興味深かった。印象に残ったものを箇条書きにしておきたい。

<メモ>
・シンコペーションのようなリズムの逸脱が音楽を推進している太い推進力である。

・半音階に下行する低音は悲しみを表現するための切り札である。

・フレーズとブレスという関係は私達の発語と同じであり、会話である。  

・音楽の根元には生命が宿っており、それをもたらすのがリズムである。

・ステイービーワンダーの心の愛はヴァースとリフレインからなっている。同じメジャー和音の中にAmが効いている。しかも詩の核心部分で使っている。これによって心の中により響くという実に効果的なストラテジーによって歌に命を吹き込んでいる。

・歌詞は人々に違う気持ちを喚起するが、音は人々に共通した感情を呼び起こす 

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