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赤瀬川原平「四角形の歴史」毎日新聞社

本来人間には風景は見えていなかった。だから古代の絵には物しか描かれていない。では、四角形はいつから生じたのか。まずは直線の発見からある。くもの糸の直線、水平線の直線といったものだ。その後人間は家をつくり始めた。その時、外を見るための空間をつくった。その窓の形は直線の組み合わせ、それが四角ということらしい。窓からみた世界は四角というフレームから見た世界。そこで余白というものを意識した。物以外の余白だ。その余白に風景を見出した。
現代社会はほとんど四角形でできている。机、椅子、ノート、名刺、引き出し、紙幣、本、壁・・。
こうやって四角形の歴史を見るのは面白い。四角形が余白を生み出した。余白を無意味ととらえると、意味だらけの世の中に余裕ができる。今自分が見ている世界を再定義してみるのも面白い作業だと思った。

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