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【人生の転機】 「私もビビる」好色編集者・M氏 #3

(#2から続く)
 一方で、やはり若い頃はビジュアルが相当大事だったんだなあと改めて思う。もし私がオリーブ少女の風貌のままだったら? B-GIRLにならなかったら、その命令もなかったかもしれない。

 若さと、(男性編集者の好みの)それなりのビジュアルがあれば、スキルなんて二の次で仕事は舞い込む。出版不況で一億総ライターの現在はそう簡単にはいかないかもしれないが、まだ20代の新米ライターの女性は自分磨きをする価値は十分にあるだろう。これは若い新米の男性ライターでも同じことが言えるかもしれない。女性編集者に好かれるビジュアルになりゃあいいのだ。仕事の「おかわり」が来るかどうかは保証できないが、よっぽどダメダメな原稿だったり、コミュニケーションが取れないとかでない限り、「おかわり」が来る可能性は大きいと思える。

 そこで、自分のビジュアルに自信がないライターは、思いきってビジュアルを変えてみるのはどうだろう。整形は少しハードルが高いが、服装や髪型、メイクだけでも効果的なはずだ。編集者が若くてカジュアルな出版社なら、センスの良さを感じさせる身なりに。社員がスーツを着用しているような固めの制作会社や企業なら、とにかく清楚に。化けるバリエーションをいくつか用意しておく。

 お金はかかるかもしれないが、これも先行投資と考えよう。なあに、採用されてしまえばこっちのものなんだから、初回に顔を合わせる時だけ「女優」になりゃあいいのだ。それだけで新規に出会った編集者から気に入られる可能性はグッとアップする。その編集者が、ライター人生を左右するキーパーソンになる可能性だって十分にあるのだ。
 
 また、出会った時はキーパーソンと思いもしなかった人が、私のように何かのきっかけでキーパーソンになることだってある。ある意味、キーパーソンは降って沸くものではなく、自ら作り出せるものなのかもしれない。

 私のようにアラ50になったらもう編集者から目をかけてもらえるビジュアルもないし、スキルで勝負するしかない。そもそもこの年齢で新たにキーパーソンが出現して、人生が大きく変わるのは億劫だ。

 とはいうものの、ビジュアルを磨くことに決して損はない。ピチピチとした若手ライターに若さでは勝てなくても、熟女ライターだからこそ出せる色気とか落ち着きとかがある……はずっ! 私もオンライン面談だからといって手を抜かず、ファンデーションとリップくらい塗ることにしようか。もしかして独身の男性編集者と運命の出会いがあって、老後のキーパーソンになるかもしれないじゃないか、頑張るっ(まだ離婚すらできていないけど……)!

(完)

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