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ラドリオのナポリタンに恋して

日曜日の昼ごろ、丸亀製麺の冷やしかけうどんが終了したことで秋の訪れを感じていた愚弟。
まだだ、まだ、明日からの仕事のことを考えずにいられる段階だ。
まだ、なんでもできる。

ともあれ今は「ナポリタン食いてぇ!!」

そう、愚弟は金曜日にウインナーコーヒー発祥の店である神保町「ラドリオ」で食べたナポリタンを忘れられずにいた…。
弾けるほどウマいわけではない、実家のような安心感の中にエレガントを感じた。ファビュラス。これでいい。これがいい。
そう思わせてくれる安心感と上品さを両立したナポリタンだった。

「あゝ、ナポリタン食いてぇなぁ」

となればだ。善は急げ。肌寒くなってきたノスタルジックな季節の中を烈火の如く走りぬけ、俺はスーパーへ駆け込んだ。
愛車である買い物カートでドリフトをしながら最短で、それでいて的確に材料を集めていく。(最寄りのスーパーのカートは積載量こそ少ないものの、軽量さとサスペンションに定評がある)
特に、ソーセージコーナーでのチョイスは鬼門とされていた。
まず、ベーコンかソーセージかを選択しその後、トップスピードを維持しつつ、商品を選択する。後戻りはできない上、ここでのチョイスはナポリタンの満足度に直結する。
ラドリオのナポリタンはベーコンだった。
しかし、俺は迷わずソーセージを選択した。理由は単純にして明快。
ナポリタンに入っていて嬉しいのは?

「それは、ソーセージだろう。Right?」

さて、本番はここからだ。
俺の欲求を満たすために集まってくれた材料(仲間)たちを紹介するぜ。

シャウエッセンより香薫の方が安いゾ

まずは味の決め手になるケチャップにはハインツを採用。
シンプルでスタイリッシュなデザインは言わずもがな。
デザインだけでなく、トマトの味を生かすため、人工着色料や香料などを使用していない。フレッシュさに期待。

スパゲッティはマ・マーよりも安価かつ、大容量の1㌔のDIVELLA。イタリアで116年の歴史を誇るという老舗ブランド。
よく分からないけど安くていっぱい入ってます。

次にスパゲッティに次ぐサブメイン。ソーセージには香薫を。
シャウエッセンよりも安価ではあるものの、どこの何かは分からない金賞をW受賞しており、期待が高まる。

その他の野菜はぶっちゃけなんでもいい。
ピーマンと玉ねぎは推奨する。
というか材料にこだわる料理でもないだろ、別に。
もっと豪快に、もっと自由でいい。

世界を断ち切る斬撃
ふぁああああ♡いい匂い
一袋全部いく。残ってもしょうがないから。
下ごしらえはこんなところ

材料を炒めている間にパスタを茹でておくぜ。
我が家にはコンロが一つしかないから封印の黄金櫃でパスタを茹でる。
水とパスタを入れてレンジで茹で時間プラス5分温めるだけでいいという優れモノ。幾度となく、忙しい昼を救ってくれた相棒でもある。
さぁ、行ってきな。

その時、キッチンに緊張走る。
思わぬ伏兵。
あまりにも慣れすぎたその作業。どこか安心しきっていた。
安心感、それは慢心という怠惰に繋がった。
それが露呈した決定的な瞬間だった。

入りきらないのだ。イタリアとヤパンでは規格が違うのか。
黄金櫃はただのプラスチックの容器となり悔しそうな表情を浮かべている。
イタリア野郎はただそこで挑戦的な眼差しでこちらへ向けているだけだ。

イタリアのパスタに敗北し呆然と立ち尽くす

お前がかつて俺を救ってくれたように。俺もお前を救おう。
お前が涙を流すならば俺が拭おう。
お前に入りきらなければ俺が折ろう。
俺たち2人なら最強だ。そうだろう?

ふんっ!ふんっ!

さて、相棒を待つ間に材料を炒めていく。
砂糖とケチャップ、それにコンソメをひとかけ。
立ち昇るケチャップの香りとジュワジュワといい音。
嗅覚と聴覚を攻められ、立ちくらみ寸前だ。

ケチャップが焦げる匂いが鼻腔をくすぐる

ちゃっちゃっちゃ

パスタを投入し、風の如く混ぜていく
追いケチャ当然


こうして…
我が子のようなナポリタンが完成した。
誰がなんと言おうとこれは我が国が誇る伝統的なパスタだ。
少しの焦げすらもはや愛おしい。

全ての食材に感謝を込めて
フーッ!フーッ!
んぐんぐ
これには思わずニンマリピース

ラドリオのナポリタンよりもモチャッとしているが、俺はこれが好き。
なんだか子供の頃の土曜日の昼ごはんを思い出した。


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