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まあ太のぼうけん その13

まあ太は温泉につかりながら「やっぱり今回はおっ母のところに帰ろう。」と思い3人に残念だが今回は家に帰ろうと考えてる。と話すと3人は誰も反対はせずゴリラに至っては「それでは私めがご実家までお送りいたしましょう。」
とまで言うのでした。
他の2人も賛成し次の朝にまあ太は「猿の温泉宿」を後にすることにしました。

 温泉宿の最後の夜、まあ太はふかふかの布団の中であの娘さんの事を思い出していました。今回の旅は果たせなかったものの、また帰ったら遊びに行こう。さすがに歩いては距離があるから今度は自転車を借りようかな。と思うのでした。

それからあの鬼たちのことも考えます。
鬼は確かにいました。もしももう一度会うことがあったならまあ太には何ができるだろうか。あの3人がいなかったら助かることはなかっただろう。
 まあ太は強くならなければと思いました。でもどうやったら強くなれるのか。そんなことを考えているうちに、まあ太はゆっくりと眠ってしまいました・・・。

 新しい朝、まあ太と3人はまあ太の家に行くことになりました。温泉宿のさるたちは出発の日に全員が並び「またおこしくださいませ!」と深々と頭を下げて見送りました。
ゴリラは1番年長のさるになにやらこと付けしまあ太に着いていきました。

 道中はみんなで冗談を言ったりカラス天狗の皮肉に付き合ったりしながらのんびりとしたものでした。2日経った後、とうとうまあ太の家の前に到着しました。

 まあ太はせっかくここまで来たのだから家に上がってゆっくりしていけばいいのに。と言いましたが3人はそれはいけないと、丁重に断りました。
「では我々はこれで。」カラス天狗が言いました。
「鬼に立ち向かったのだ。恐れるものは何もない。」次に犬が言いました。
「ぜひまたお立ち寄りを。」最後にゴリラが手をかざしました。
「ありがとう。君らのおかげで何か出来そうな気がする。」まあ太は笑って言いました。

そしてまあ太はおっとうの鋲のついたベルトをしっかりと締め、何事もなかったかのように家の扉を開けました。

「おっかあ。帰ったぞ。」

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