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まあ太のぼうけん その10


それからどのくらいの時間が経ったことでしょう。
 まあ太は鬼たちにドッジボールのボールにされたりおまつりのおみこしにされたり・・・。

鬼たちはまあ太で遊んでいました。ことあるごとにまあ太は気を失ったのですが、その度にあたまから酒をかけられ、目を覚まし、再びボーリングのピンにされたり、ジャイアントスイングをされたりしました。
 繰り返し薄れていく意識の中でまあ太は何度もあきらめました。

嫁さんがほしいなんて言ってたな。
おっ母ともう一度会いたい。
未来の自分。

きっと骨になった人たちもこうやってあきらめていったのだな。と思いました。そして自分も最後にはあの鬼たちに喰われて骨になるのだろうと。
そうしてまあ太は痛みすらなくなってきた自分の体を遠くから眺めていました。

けれどもそれは早すぎます。
 まあ太は目の色を取り戻しこのままではいけないと倒れそうな体を1匹の鬼の足の甲に被せ力いっぱい足にかじりつきました。しかしそれは何の効果もなく、怒った鬼はまあ太をそのまま蹴り上げ天井に叩きつけました。

 まあ太の口からごぼりと赤いものがこぼれ、落下と同時にまあ太の顔を染め上げました。地面に叩きつけられる前に、まあ太はその時自分の最後をありありと見ました。
おっとうの最後も見ました。偉大なまあ太なおじいさんとおばあさんの最後も見ました。

 そして大勢のどこの誰かはわからないたくさんの人たちの最後が見えた時、
「たすけてくれ。」とひとつの言葉がこぼれ落ちました。

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