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初夏 (New ver.)
初夏の風が
窓から入ってきて
グラスが午後の光を
テーブルの隅にあつめる
なつかしいあの歌を
頭の中に流しながら
窓の外の木々の揺れを
ただ眺めている
夕立が降るのを待つ人たちは
喫茶店で待ちぼうけ
モカ珈琲かくまで苦いな
ミルクとザラメ容れようか
誰かの些細な偏りに
面を食らって涙が枯れるほど
毎晩、泣いていたのさ
公園通りを歩けば
花が薫るこの季節の只中
路肩に咲く花の名も
わからないままで
蟷螂(Full ver.)
萩の葉
月に映る夜
闇にまぎれて
灯が揺れている
蟋蟀
一つ鳴きぬ夜
秋霖薫る
心はふるえそう
ふたつの鎌とちいさな斧で
おれになにができるのだろうか
そして夜が明けたら
カマンティス
翼をひろげて
あの空に飛び立とう
果てしない狩りの旅をはじめよう
すすきの聲が
響く夜は
闇に抱かれて
独りで生きている
おおきな夢とふたつの想い
おれは誰を愛せるだろうか
そして風吹いたら
虹
檸檬の白い花が
咲く頃には
会いに行きたくなる
あのまちへ
君の住むあのまちへ
こもれび
そよ風
つぐみの歌
皐月の雨が
このまちにも
降り注いだ
そして
大きな山の影のそばに
架かった
なないろの橋
ひらめき
ひらめいたのは
ささやかなアイデア
うたかたのような毎日の中に
沈んでいく多くの後悔と
あなたの微笑みのおかげで
ひらめいた
頼りないきもちは
不安という魔物に
いじめられている
霧のような雨が降って
蝉の声が騒がしい季節が
もうすぐそこまで
来ているというのに…
百年
百年前
私はここにいなかった
百年後
私はここにいないだろう
私はときめきたい
この心臓で