雨なんて降る気配もなかった
空は晴れ渡っていた
色とりどりのランドセルが揺れる
個性ある魂がぶつかる
信号は赤
止まれ
止まれ
止まれ
目を見開いて観察をする
どうしたら
黒の中の赤が黒になれるのか
歩行者専用ボタンを押しても信号は青にはならなかった
(ボタンを強く押しすぎて 簡単に私の世界にヒビが入った。)
空は突然涙を溢す
私たちの中から湧き出た
空に昇った想いを抱えきれない様に
いつもの坂をくだって
右に曲がると
ふいに赤い傘が見えた
咄嗟に雨に感謝した
あなたのハミングが聴こえる
調子が良い いつものリズム
私はあなたに向かって走り出していた