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詩「育む」



競争しているのではない
ただ
生命を生きているのだ
その中で
自分だけの感性を育んでいるのだ
心のひだに触れるものを
文章に落とし込んでいる
(芽を出す種もあれば 土の中で役目を終える種もある。)

全てが今に通じている
男も女も
幼子をあやす様に
慈しみながら自身を育てている
より豊かに
より鮮明に
より優しく
より厳しく
荒れた大地にようやく芽を出した種
(足早に通り過ぎて行く群衆の中で 深く息を吸う。)

憎んではいけない
恨んでもいけない
育むことを忘れてはいけない
育てることを急いではいけない
(血の巡りが感情を押し流す。)

ようやく出たその芽が
自身を育むということもあるのだ
(目尻に皺ができた私は 大きく茂った木にもたれ掛かりながら笑っていた。)


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