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詩「才能」



使い古された机の上に
奇妙な点が
四つ、五つ、六つ

それは何かの暗号かい?
宇宙に助けでも呼んでいるのか?
「すぐ、消したまえ」
と先生は言った
意味もなく周囲は笑った
気味が悪いと私は眉をひそめた
それでも、彼は止めなかった

七つ、八つ、九つ
上に、下に、中央に
いつしか私は、彼の手の動きに合わせて
その奇妙な点を眺める様になった
書いている彼の口元は微かに微笑んでいた
それでも、私の目は冷めていた
彼と同じ様に熱くはならなかった
いつしか
その机は廃棄処分になって
彼の空間から消えていた

宇宙人が持って行ってくれたんだよ
良かったな

「授業に集中したまえ。」
と先生は言った
それは、私も同じだった
彼は、コックリ頷いた
皆、その点の事を忘れた
一体、誰が知るだろう
あの奇妙な点が一つの旋律になっていた事を…
彼も覚えているのだろうか?

オンボロ机は、どこかに眠っている

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